3つ目に、この1文を使うことで相手の意見をもっと詳しく聞きたいと心から思っていることを示せる。会話を迅速に相手に戻して情報共有を求めれば、あなたの方では共感に欠けることや自己弁護的なことを言わずに済む。
間違っていると言われた場合、多くのリーダーは反射的に「言っていることは分かります」と言うだろう。それ自体は問題ないかもしれないが、その直後に多くの人は「でも」と続けるはずだ。
「分かりました」と言った直後に口を閉ざすことができるならよいだろうが、そうではない場合が多い。「興味深いですね、もっと聞かせてください」と言えば、即座に相手に発言を促し、自分の失言を防ぐことができる。
例えば、友人の会社で人員削減が行われていると想像しよう。友人から「この業界には将来が見えないような気がする」と言われ、あなたは「分かるよ。でもあなたはこの状況は乗り越えられる」と返事をした。
これは、インターネット調査「Do You Know How To Listen With Empathy?(あなたは共感を持った聞き方を知っている?)」で実際に尋ねられた質問だ。数千件に上る回答を分析した結果、3分の1の人がこの回答を共感的だと考えていた。しかし、これは間違っている。
友人から不安を共有されたあなたは「分かるよ」と言ったものの、その直後に、相手の感情は正当なものではなく、不安に感じるべきではないと述べている。これも全て「でも」という言葉を使ったことが原因だ。
リーダーは誰しも、キャリアのどこかの時点で(あるいは何度も)間違っていると言われることがある。相手の指摘が合っていることもあれば、そうではない場合もある。しかし、批判の正確性は別にして、その対処法を理解しなければならない。ここに紹介したシンプルな1文を覚えることができれば、間違いを指摘された場合もほぼ確実に品格と自信を持って対応できるはずだ。
そうすれば、リーダーとしての評判が高まるだけでなく、非常に重要なリーダーシップのスキルを身につけることができる。
筆者が行った「How To Build Trust In The Workplace(職場での信頼関係の構築方法)」の調査では、7000人以上を対象として上司を信頼する理由、信頼できない理由を調べた。その結果、従業員が上司を信頼するかどうかの最も重要な決め手は、従業員が仕事の問題を共有したとき上司がどれほど建設的な対応をしたと感じたかであることが判明した。
厳しい批判を受けたり間違っていると言われたりしたときの対応法を理解することで、あなたのリーダーとしての能力に対する他者の信頼が大きく向上するはずだ。