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VCのインサイト


また、企業カルチャーにとってもリアルタイム性が重要で、意識的であろうとなかろうと、同じ場所で仲間たちとともに苦難を乗り越えていく中で醸成されるものです。つまり、ビジネスを作るにしても、カルチャーを作るにしても、1つの場所で小さなチームで取り組んだほうが新しいものを作る環境として適しているのです。

こうした背景が、スタートアップのほうが新しいビジネスの運営が得意で、大企業のほうが既存ビジネスの運営やスケールアップに秀でていることが多いという傾向につながっている一因です。

大企業のような大きな組織は、部署間の「リモートワーク」を通して1つの組織として連携する術をすでに極めています。最新のコラボレーション・ツールを活用してリモートの「仕事」を管理するという点では、スタートアップから学ぶことが多いかもしれません。

一方で、スタートアップにとっても、リモートで「人」を管理するための制度については、大きな組織のやり方を参考にしなければならない点がたくさんあります。

スタートアップの成長過程において、どの時点で「大きな企業になった」と感じるようになるのかについては様々な意見があります。30人くらいからと答えるCEOもいれば、100人や300人と答える人もいます。

いずれにしても、リモートワークへ移行した組織ではそのターニングポイントとなる閾値が著しく低下するようです。全員が同じ場所で働くことによるメリットが失われた状況では、明確なコミュニケーションやスムーズな連携を再現するために各種制度を早めに導入しなければなりません。

そういった意味で、最近ではスタートアップの間でもOKRや資料作成ルール、オンボーディングの仕組み、1on1ミーティングなどの「大企業的」なベストプラクティスの重要性が高まってきているようです。それは必ずしも悪いことではないですが、今後の新たな必要コストとして考えるポイントにはなるでしょう。

今年にかけてワクチンの供給がこのまま順調に進めば、多くの企業にとってリモートワークはもはや必須ではなく、選択肢の1つへと変わっていくでしょう。

以前にも書きましたが、個人的にはリモートと対面を織り交ぜたハイブリッド型アプローチが、両方のメリットを最大限に活かせるという点で理想的だと思います。

すでにオフィスを手放し、短期的なバーンレートの低下というメリットを選んだスタートアップも多いようですが、彼らがこの先またオフィスへ回帰するのか、そのままリモートを続けるのか、それとも両方を取り入れた働き方を選択するのか、今後の展開が興味深いところです。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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