こうしたフェイスブックのビジネスモデルをすんなりと受け入れられるのは、これが自分の使える最高の武器だと信じ込み、ストックホルム症候群にかかった被害者のごとくどんどん広告費をつぎ込んでいく企業のマーケティング責任者だけだ。彼らは麻薬常習者がヘロインを打つようにトラフィックやレレバンスを自己注入し、見当違いの誤った指標を使っているおかげで自分はデキる人になっていると思い込んでいる。
データを中心に形成されたこの業界では、真の意味で他とは異なる価値を示したことが一度もないビジネスに多くの寄生虫が群がってきたが、そうした状況は今、崩壊しつつある。ウェブの一時代の終焉(しゅうえん)と言ってもいいだろう。テックブロガーのジョン・グルーバーが数カ月前に投稿した以下のコメントが、この状況を最も的確に表現しているかもしれない。
「私たちのプライバシーに対する浅ましい裏切りに基づいた数十億ドル規模の業界が存在しているからといって、その業界をつくったサイコパスたちが今後も逃げおおせる権利があるわけではない」
ウェブページを訪問するたびに、自分の閲覧履歴データが50、60以上の第三者企業の手にわたり、ウェブの至る所での行動追跡に使われることへの同意を求められる状況を生み出した、このうそと愚行のサイクルは、いずれ終わりを迎えそうだ。将来のウェブがもう少しまともになってくれることを願おう。