「このことは、断続的に繰り返される断食に内臓脂肪が適応し、貯蔵されているエネルギーを守るようになる可能性を示唆している」とラランスは述べる。
「長期にわたるダイエットのあとに内臓脂肪の重量が減りにくくなることがあるのは、こうした適応が理由とも考えられる」
さらにラランスによれば、断食期間を繰り返す経験により、内臓脂肪の貯蔵に関するシグナル伝達経路が起動する可能性もあるという。
ただし、「5:2(1週間のうち2日だけ節食する)ダイエット」やその他のカロリー制限ダイエットなどでも、内臓脂肪と皮下脂肪に同様の影響が出るかどうかはわかっていない。
過去の研究では、人間においては、断続的断食によって腹部脂肪が減る可能性が示唆されている。
たとえば、2014年の文献レビューでは、断続的断食により、3~24週間の期間で体重が3~8%減少する可能性があることがわかった。研究参加者の胴囲も4~7%細くなったが、それが内臓脂肪の減少によるものかどうかは不明だ。
また、ダイエット期間が24週間を超えても減量が継続するかどうかを調べた長期的なデータは存在しない。
そうしたことから、今回の新たな研究はマウスを対象としていたものの、人間でも同様のことが観察される可能性はあるとラランスは指摘している。
「マウスの生理学的特性はヒトとよく似ているが、代謝速度はヒトよりもはるかに速いため、ヒトを対象にした試験よりも速いペースで変化を観察できる。また、ヒトでは採取しにくい組織を調べることもできる」とラランスは述べる。
「今回の研究で、マウスの『腹部脂肪』が、この手のダイエットに対して耐性をもつことがわかった。答えを見つけるべき大きな疑問は、その理由と、最善の対処方法だ」
マウスと人間を対象とした今後の研究では、この耐性が生じるメカニズムの解明や、腹部脂肪に最も効果のあるダイエットや介入方法の特定が期待される。