忖度からの独立、61歳でIPO。QDレーザが挑む「電子立国・日本」の復活

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半導体レーザは主に日本、米国、ドイツの企業がしのぎを削る分野だ。iPhoneの顔認証システムをつくる米・ルメンタム、LiDARやレーザ技術を使ったヘッドアップディスプレイなどを開発する独・オスラム、住友電工、ソニー、三菱重工などのジャイアントが、それぞれ得意な分野で量産品をつくり競争を繰り広げている。

「我々は各国のジャイアントと異なり、水平分業というビジネスモデルを取っています。コアテクノロジーの特許や知財を利用して、新アプリケーションや新サービスを生み出すことに注力します。大手に勝てるビジネスモデルを本気でつくりだそうとしている半導体レーザベンチャーは、我々以外には世界を見渡してもほぼいないと自負しています」

菅原の同世代、「電子立国 日本」の栄華を知る研究者たちは、徐々に現場から減り始めている。もしくは、韓国・サムスンや中国・ファーウェイなどアジア外資系企業で活躍しているケースが多いという。

菅原は「会社の若返りも積極的に進めていきたい」としつつも、「日本の50~60代の技術者たちの生き残りが集まった企業として道標になること」も目標のひとつだと話す。

大手企業のゆりかごで培われ、ITバブル崩壊で困難に直面し、ベンチャー企業としての成長を経て、いま一度ジャイアントへと変貌を遂げようとしているQDレーザ。その半導体レーザ技術は、「電子立国 日本」の復活の未来を照らす一筋の光となるはずだ。

文=河鐘基

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