8日午後にダウ平均が400ポイント以上も上昇した一方で、テスラの株価は最大6%下落した。バイデン大統領の1.9兆ドル(約200兆円)の景気刺激策が6日に連邦上院を通過したのを受けて、投資家の関心はこの日4%高となったゼネラル・エレクトリックなどの景気循環株の優良銘柄に移り、テック銘柄から離れつつある。
テスラ株は先週だけで20%下落しており、4日には長年のテスラ支持者として知られる投資家のロン・バロンが、CNBCの取材に「リスク管理のために180万株を売却する」という苦渋の決断を宣言したことを受けて8%の急落となっていた。
テスラ株は現在、560ドル台での取引となっている。バロンは、テスラの株価が今後10年で2000ドルに急騰する可能性があると繰り返し述べたが、今回の売却は2014年に彼がテスラ株を買い始めて以降に、20倍近く上昇したポートフォリオのリスク低減に役立ったと述べた。彼の発言は、投資家の間に広がるテスラ株のボラティリティの高さに対する懸念を表している。
テスラ株の急落は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が4日、経済の回復に伴ってインフレ率が上昇すると発言したことで、さらに加速した。投資家の間では、物価上昇によってFRBが予想より早い利上げを強いられるとの懸念が出ており、この発言を受けて米国株は下落した。
「10年物米国債の利回りの上昇は、高騰した銘柄により強い打撃を与える傾向がある」 と、アリー・インベストのチーフ投資ストラテジストのリンジー・ベルは4日のノートで述べ、「これがテスラやペロトンなどが今年30%以上下落した理由だ」と付け加えた。
ウェドブッシュの著名アナリストのダン・アイブズは8日のメモで、「過去1ヶ月の間、EVセクターは激しく売り込まれており、ハイテク株とともに過去1年間の歴史的な上昇の後に、著しい下落になっている」と述べた。
EVセクター全体が下落
「ここ数週間のEVセクターの弱さの申し子はテスラだった」と彼は付け加え、テスラの競合のニコラの株価も今年に入り9%下落していることに触れ、競争の加熱やチップ不足、中国での需要の減少を指摘した。
テスラ株は8日の市場で、S&P500 構成上位10銘柄の中で最悪のパフォーマンスを示した。他の大きなアンダーパフォーマーとしては、アップルとアルファベットが挙げられ、いずれも約3%下落した
テスラの株価は、1年前との比較では365%高となっているが、1月26日の最高値からは35%急落している。
テスラの時価総額は、1月26日に8480億ドルを記録したが、その後の株価の急落によって3080億ドルも減少した。フォーブスは同社のCEOで会長のイーロン・マスクの保有資産を現在約1450億ドルと試算している。