CMAの4日の発表によると、アップルのアプリ配信サービス「App Store(アップストア)」のポリシーについて、アプリ開発者から「市場での地位を利用して不公平で競争や選択を制限しかねない条件を設定している」との苦情が寄せられており、それについて調査している。
アップルは「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」のアプリに関して、開発者にアップストアを通じた配信しか認めていない。さらに、アップストアではアプリ内の課金に対して30%の手数料も課している。
CMAは調査について、アップルが英国での自社機器へのアプリ配信で支配的な地位を占めているかどうか、占めているとすれば、そこでの条件が不公平あるいは反競争的かどうかが焦点になるとしている。
アップルや米グーグルのアプリストアをめぐっては、米アリゾナ州の下院で今月、ルールの変更を求める法案が可決された。成立すれば、アプリ開発者はサードパーティーの決済システムを利用することで、アップルやグーグルによる手数料の徴収を回避できるようになる。
アップル、とりわけ同社のアプリ配信管理者としての役割に対しては、ここへきて規制当局の視線が厳しくなっており、アプリ開発者からの批判も強まっている。
欧州連合(EU)の欧州委員会は現在、アップルに対する反トラスト(独占禁止)調査を4件進めており、うち3件はアップストアに関連したものだ。CMAもビッグテック対策では欧州委員会や世界各国の規制当局と「緊密に連携」していく考えを示している。
アップルやグーグルのアプリ管理者としての役割をめぐる批判で急先鋒に立ってきたのが、米ゲーム開発大手のエピック・ゲームズだ。同社が人気戦闘ゲーム「フォートナイト」について、アプリ内課金への手数料徴収を回避できるようにしたところ、アップルとグーグルはアプリストアから削除する措置をとった。
フォートナイトはこの件に関して、英国の競争法を根拠に英国でもアップルとグーグルを提訴した。アップルとの訴訟は米国企業同士が英国で争うのは不適当として裁判所から却下されたが、グーグルとの訴訟は同社の欧州本社機能がアイルランドにあることなどから継続が認められている。
CMAはビッグテックに照準を合わせた新たな取り組みを進めており、アップルに対する調査もその一環で決められた。CMAのアンドレア・コシェリ長官は、現在進めているデジタル市場の調査で「憂慮すべき動向」をすでに把握していると明かし、「ビッグテックによる反競争的な慣行を野放しにしておけば、消費者だけでなく企業も実害を受けるおそれがある」との認識を示している。