ボルボは、3月4日の記者発表において、2025年までに生産台数の半分を、そして2030年には生産するすべての自動車をピュアEVとするアグレッシブな目標を打ち出した。
ボルボといえば、創業以来、一貫して高い安全性を持つブランドというイメージがあり、地球環境に優しいイメージが突出していたわけではない。今回の動きは、そのボルボが「環境問題対応に本腰を入れた」と理解してしまいがちだが、そうではない。重要なのは、ボルボが掲げる「Freedom to Move(モビリティの自由)」という考え方に基づいた、持続可能かつ安全なモビリティを提供するとしている点にある。
CEOのホーカン・サミュエルソンは宣言した。「成功し続けるためには、収益性の高い成長が必要です。そのため、縮小する事業に投資するのではなく、電気自動車とオンラインという未来への投資を選択しました。私たちは、急成長するプレミアム電気自動車セグメントのリーダーになることに完全に集中しています」と。
ボルボは、これまで低燃費で人気のパワートレーンだったディーゼル車を廃止して、あえて電動化に舵を切ることに決めた。その結果、欧州においては、プレミアムブランドの電動モデルではボルボが首位を獲得し、PHEV/EVの電動モデルである「Recharge」仕様が欧州での販売の約4分の1を占めるまでになっている。
VOLVO RechargeのHP/ボルボのPHEV、EVは「Recharge」の名を冠して展開される
「縮小」する事業とは、内燃機関を搭載したクルマであることは紛れもない事実だ。こうした方針を受けて、日本法人であるボルボ・カーズ・ジャパンでも、2020年8月に「年内にボルボの全ての国内販売モデルから内燃期間のみの車両をなくし、すべてのモデルを48Vハイブリッド機構の搭載またはPHVとすることで、電動化への第一段階を完了」すると発表した。
なぜ、今、ボルボは急速に電動化に向けて舵を切るのだろうか?
「2025年にスウェーデン本国では50%、日本でも35%にピュアEVの比率を上げるという目標は、決してアグレッシブだとは思っていません。事業環境の違いから、本国の目標である50%に対して、日本では35%としていますが、最終的なゴールである2030年には100%ピュアEVの販売に切り替えるという目標は世界中で統一されています。今回、日本上陸を発表したクロスオーバーEV「C40」に続いて、毎年、ピュアEVの製品を投入していきます」と、2021年からボルボ・カーズ・ジャパンの代表取締役に就任したマーティン・パーソンは言う。