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2021.03.19 08:30

Clubhouseが教えてくれた「後発サービスが勝つ」ための5つのポイント

音声SNSだけでなく多くの成長プロダクトは「後発」だ

音声SNSだけでなく多くの成長プロダクトは「後発」だ

音声SNSサービス「Clubhouse」が急激な人気を見せ、以前からあった人気サービスのように定位置を確保してきている。この現象に関して、アメリカ側の視点から書かれた記事「Demystify the Clubhouse Craze in Japan」にも記載されている、ある一つの点に関して考えたい。

それは、「サービスの形態自体は特に斬新ではない」ということ。音声を利用したサービスはPodcastをはじめ、以前より多く存在していたし、それにSNS要素を追加させたタイプもStand.fmやDabelなどの先発サービスがリリースされていた。

それなのに、かなり後発のClubhouseがなぜそんなにも爆発的な話題を集めているのか?おそらく、その謎を解くことがサービスデザインにおける大きなヒントになると考えられる。

後発でもヒットしたプロダクト例


この謎を解くために、まずは今までに他の商品やサービスで後発なのにヒットした例や、先発なのに失敗した例を見てみることにする。というのも成功しているサービスの多くが結構後発である。逆に真っ先に動いた企業は、タイミングが早すぎたり、市場の準備ができる前に資金が尽きてしまうことも多い。

■ Gmail

リリース日: 2004年4月
先発サービス: Hotmail, AOL, Yahoo Mail

現在ではEメールの代名詞になっているGmailも、実はかなり後発のサービス。ネットの普及が進み、Webメールサービスが提供されていたのが90年代中盤。HotmailやAOL, そしてYahoo Mailなのが代表的なサービスになっていった。

しかし、Googleによる、よりクリーンで使いやすいメールとして”Email that doesn’t suck (イケてるメールサービス)”をキャッチコピーとしたGmailの人気が一気に高まり、後発ながらも、現在最も多くのユーザーを獲得しているメールサービスとなった。

Homailの昔の画面
Gmailの前に人気の高かったHotmail。スパムがめっちゃ多かった

■ Zoom

リリース日: 2012年9月
先発サービス: Skype, Google Meet, WhatsApp

リモートワークが進んだことで、最もユーザーを増加させたサービスの一つがZoomだろう。それまでもSkypeやGoogle Meetなど、ビデオコールのサービスが多く存在しており、完全にレッドオーシャンだと思われた市場に彗星のごとく登場した。

それも、それまでの多くのサービスが無料だったのに対して、Zoomは無料プランに制限をかけ、多くのユーザーが有料プランを利用している。それにより、売り上げもうなぎ登りになり、上場も果たした。

スカイプなどのビデオコールブランド
Zoom以前にも無料のビデオコールのサービスが存在していた

■ Slack

リリース日: 2013年7月
先発サービス: HipChat, Yammer, Chatwork

ビジネスチャットツールとして、現在では堂々たる地位にあるSlackも、実はそのカテゴリーにおいては、結構な後発のサービス。

Slackが出る前にも、HipChatやYammer, そして日本発のChatworkなど、複数のビジネスチャットツールが存在していた。しかし、Slackはそれらを大外からことごとくぶち抜いてしまった。

HipChatとYammarの画面
Slackよりも前にリリースされていたHipChat(左)とYammar(右)

■ Facebook

リリース日: 2004年2月
先発サービス: Friendster, MySpace

Facebookが元祖SNSサービスだと思っている人も少なくないだろう。しかし実は、Facebookの前にもFriendsterやMySpaceといった類似のサービスが存在してた。

日本にもmixiがあったが、現在では「マイミク申請していいですか?」と聞いて理解してくれる人は少ないか、笑いをこらえるのに必死になる人もいるだろう。

FriendsterとMySpaceの画面
Friendster(左)とMySpace(右)はFacebookの数年前にリリースされていた
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文=Brandon K. Hill(CEO of btrax inc.)

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