圧倒的なブランドミッションへのコミット
スピード勝負のD2Cの中で、素材開発にかなりの時間を費やし、サステナブルアパレルブランドの中でも唯一のポジションを獲得しているのがUK発・米国での人気が高いPANGAIA(パンガイア)である。
100%自然な服を目指すPANGAIAは、バイオテックに基づいたリサイクルできる素材、自然由来の素材・染色などに拘り、同時にスタイルにも妥協のない “everyday life style product”を生産、販売している。ブランドスタートから約1年で$4.84M(約5億円)の収益を出したブランドだ。
PANGAIAの強さは、なんと言っても服作りを素材開発から実施し、エシカルを徹底している点だ。
PANGAIAが特許を取得している花から作られたダウンはアニマルフェザーや合皮ダウンの代替として、野生の花がもつ微細構造を生体高分子(天然由来の化合物)と組み合わせて熱を引き出すことのできる素材である。
PANGAIAのフラワーダウン(公式サイトより抜粋)
素材開発に費やした年月はなんと10年。開発した素材はオープンソース化し、ゆくゆくはあらゆる業界の誰もが使えるようにすることを目指している。
もはやD2Cブランドの枠にとらわれず、「気軽に環境に配慮した素材を使ったものづくりができない」というファッション業界の課題に取り組み、メーカーやブランドに向けた素材開発を通じてB2B領域でもビジネスを展開している。
PANGAIAのビジネスモデル(ビートラックス資料より抜粋)
一見手広く見えるPANGAIAのビジネスだが、全て「よりよい未来をデザインする」というミッションに基づいたアクションであるため、ユーザーからは賛同の声が多い。PANGAIAのアクションはすべて、社会に対する責任感とブランドのミッションに紐付いたアウトプットなのである。
開発した素材や実施したアクションがどれほど環境によい影響を与えているのか明示し、分かりやすく伝えている点もPANGAIAの強みだろう。
圧倒的な技術と行動力に加えて、PANGAIAを購入するというユーザーのアクションがどんなポジティブインパクトを及ぼすか、より身近でわかりやすいもので伝え、ときにはユーザーを教育する姿勢を持っていることもまた、ミッションへの思いの強さを表している。
PANGAIAのプロダクトを1つ購入すると1本の木を植林できる(公式サイトより抜粋)