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2021.03.09

ビットコインの価格上昇を「メトカーフの法則」から考える

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ピーターソンは、ウォレットの数に基づけば、ビットコインをかなり効果的に評価できると主張する。たとえば、2011年12月末段階のウォレット数はわずか369件で、価格は約2ドルだった。その後、2017年になるとウォレット数は約2000万件に増え、価格は数千ドルまで上昇。そして現在、ウォレット数は6000万件で、価格は5万ドルほどとなっている。

もちろん、実際にはこれほど単純な話ではなく、ビットコインの供給も重要だ。しかし、上述したような論理に従えば、価格を動かす主な推進力は、ビットコイン所有者によるネットワークの拡大ということになる。

相関関係は因果関係ではない


どのような統計分析でもそうだが、慎重さが必要であることを忘れてはならない。ビットコインの価格は爆発的に上昇した。そして、価格以外の「急拡大が観察されたもの」はなんであれ、それが価格上昇の潜在的な要因だったように見える可能性がある。

ビットコイン・ウォレットは、価格が急上昇した要因の可能性のひとつではあるが、そのふたつに因果関係はない可能性もある。それでも、このネットワーク理論は、ほかの分野では成果が見られてきたし、直感的には正しく感じられる。

今後の動き


こうした主張は、ビットコインが主流資産としてより受け入れられ、取引がしやすくなれば、価格がさらに上昇する可能性があることを示唆している。

とはいえ興味深いことに、ビットコインの価格は常にメトカーフの法則に従っているわけではない点をピーターソンは指摘している。2013年に、メトカーフの法則に基づいた価格を超えて急騰したのだ。それについてピーターソンは、通常の需給関係というよりも、むしろ価格操作があったのではないかと考えている。

ビットコインの価値を評価する確かな基準がほかにないのなら、ネットワークに注目すべきなのかもしれない。ビットコインがより容易に取引できるようになれば、あるいは、証券口座に株式と同じようなかたちで追加できるようになれば、価格がますます上昇する可能性はあるだろう。

とはいえ、言うまでもないが、これはビットコインの価値についてのひとつの見方にすぎない。たとえばリンディ効果(長く使われているものほど、より長く使われるという効果)も、興味深い視点を提供してくれる。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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