Clubhouseで市場拡大? Voicy代表に聞く「声のインフルエンサー」の可能性

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──Clubhouseの「声のインフルエンサー」についてはどのように見ていますか。

番組オーナーとして活躍するインフルエンサーが出てきていますね。メンタリストDaiGOさんのようにひたすら話すというよりは、モデレーターとして話をまとめたり、うまく回したりするファシリテーションの才能を発揮している人です。

Clubhouseの活用法としては、企業が採用活動の一環で社内メンバーと話しているのはうまい使い方ですね。商品のユーザーインタビューやメディア取材を公開で行うのも効果的です。

──今後「声のインフルエンサー」市場はどのように展開していくと思いますか。

音声の広告や番組をつくる企業が増えるので、より大きなマーケットになると思います。目が疲れている高齢者や、スマートスピーカーでの検索に慣れている若い人など、幅広い層に届くマーケットへと成長するでしょう。その流れは今年からくると思います。

日本企業は他社の成功事例を見てから真似する傾向にあるので、遅れを取ってしまいがちという難点はあります。しかしこれまでの事例を見ると、海外で盛り上ったものは大体1年後ぐらいに日本でも広まる。今海外ではポッドキャストなどが非常に成長していますから、日本も後発でしっかり伸びていくと考えます。

じわじわと好きになる「声」の役割


──日本国内における音声マーケティングの可能性については、どう考えていますか。

これは非常に大きいと思います。従来のネットの広告は、その日にコンバージョンするような商品を扱うものがほとんどで、家や車などの商品の広告は少なかった。いわゆる、速攻刈り取り型のマーケティングで即効性のある広告が主流でした。ですが、人生で一度購入するような商材を売るためには、じわじわと好きになってもらうような積み上げ型のマーケティングが必要で、音声はそこで大きな役割を果たせると思います。

昔聴いていたラジオのパーソナリティの声とか、「ファイト、一発!」のCMの声って、なぜかずっと覚えていませんか? 音声の「好きになってもらいやすい」という性質を利用して、長期スパンで取り組まれる音声マーケティングは今後伸びていくと思います。

──Voicyが今後目指す姿、また音声コンテンツの行く末を教えてください。

Clubhouseはアーカイブが残りませんが、僕たちは人の歴史が声を通じてストックされていく場所をつくることで、発信者にとってベストなプラットフォームになりたいと考えています。

個人の発信って、これまでは「可愛いが正義」だった面があると思うんです。でも、個人の魅力って可愛いさだけじゃない。音声を通じて、今後はさまざまな人の魅力を出せるようになっていくと思います。新しいヒーロー、活躍する人が増えてくるのが楽しみですね。


緒方憲太郎◎1980年生まれ。大阪大学経済学部卒業と同時に公認会計士資格を取得。2006年新日本有限責任監査法人入社、企業支援に携わる。29歳で休職、世界を回る。その後、米アーンスト・アンド・ヤング社、トーマツベンチャーサポート株式会社を経て、2016年株式会社Voicyを設立。

文=一本麻衣 構成=督あかり

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