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濱口竜介監督(2018年のカンヌ国際映画祭にて、Getty Images)

海外の映画祭で評価が高く、国内でも期待される若手監督の1人である濱口竜介監督が、またひとつ新たな栄誉を手にした。映画「偶然と想像」で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞したのだ。

ベルリン国際映画祭は、カンヌ国際映画祭とヴェネツィア国際映画祭に並ぶ世界三大映画祭のひとつ。来場者数の多さから「世界最大の映画祭」とも言われているが、今回はコロナ禍の影響もあり、オンラインでの開催になったという。

審査員グランプリは、コンペティション部門の最高賞である金熊賞に次ぐ賞で、日本人監督としては、1987年に「海と毒薬」で受賞した熊井啓監督に続いて、濱口監督が2人目。価値ある賞であることに間違いない。

受賞作の「偶然と想像」は、濱口監督が自ら脚本も手がけており、3つの40分ほどの短編から成るオムニバス作品だ。濱口監督は受賞の喜びを次のように語る。

「ほんとうに小さなチームでつくられた映画で、ベルリン国際映画祭という大きな映画祭で賞をいただき、とてもありがたく思っている。そもそもコンペティションに選ばれることも、受賞することも予想していなかったので、このような結果を得られて驚いている」

早くから世界の映画祭へと出品


「偶然と想像」の3つの短編には、それぞれタイトルがつけられている。まず、最初の「魔法(よりもっと不確か)」は、親友が話題にしている男性が自分の元の恋人であることに気づき、さまざまな思いにとらわれる主人公を描いている。

「扉は開けたままで」は、作家でもある大学教授に落第させられた学生が、彼を陥れようと、同級生の女子学生に教授の研究室を訪ねさせるというストーリー。最後を飾る「もう一度」は、20年ぶりに再会した2人の女性が、高校時代の思い出話に花を咲かせているうち、次第に会話がすれ違っていくという設定だ。

タイトルが示すように、日常のなかの「偶然」から発展していく「想像」にまつわる物語を描いていおり、濱口監督の作風でもある役者の演技に重きを置いた「会話劇」ともなっている。濱口監督は語る。

「会話劇なので、日本語では伝わるニュアンスが字幕では伝わらないこともあるとは思いますが、役者さんが言葉を発する際に空間が変わっていくところを評価していただき、それらの表情がダイレクトに伝わったのではないかと思っています」

文=Forbes JAPAN編集部

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