血液の抗凝固薬、コロナ入院患者の死亡リスク減らす可能性

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血液を凝固しにくくする抗凝固薬が、新型コロナウイルス感染症の患者の死亡リスクを減らせるかもしれない。

英国と米国の研究者らは先月、新型コロナウイルス感染症で入院する患者に対し、広く入手可能な抗凝固薬を予防措置として与えることを求めた。論文は英医師会雑誌(BMJ)に発表された。

この観察研究によると、入院から24時間以内に抗凝固薬を与えられた新型コロナウイルス感染症患者のうち亡くなった人は約14%だったが、抗凝固薬を与えられなかった患者の間の死亡率は約19%だった。

入院から、24時間以内に予防として抗凝固薬ヘパリンを与えられた患者の数は計3627人だった。

研究者らによると、同研究は新型コロナウイルス感染症で入院し、米退役軍人省で治療を受けた4000人以上の患者(大部分は男性)のデータを基にしたものだ。研究者らは、この研究が新型コロナウイルス感染症患者の間の予防処置として抗凝固薬を使用する効果を立証する「現実世界の有力な証拠になる」と述べている。

新型コロナウイルス感染症による死者の一部は、静脈や動脈に血栓ができることが原因となり亡くなっていると考えられている。これは、抗凝固薬を使えば治療できるものだ。

今回の調査は観察研究なので、抗凝固薬が新型コロナウイルス感染症患者の生存の可能性を高めることができるのかどうかを最終的に判断するには臨床試験が必要になるだろう。

英キール大学の上級講師であるマーク・スキッドモア博士(生化学)は、この調査が非常に説得力のあるものだとし、「質が高く説得力のあるデータにより、入院時に予防のためのヘパリン治療を行うことが支持されている」と述べている。スキッドモアは「新型コロナウイルス感染症患者の入院時の臨床診療を再検討する必要があることは明確だ」と説明し、「死亡率の大幅な低下は非常に望ましいことだ」と補足した。

翻訳・編集=出田静

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