ビルケンシュトック創業家の息子たち、株売却でビリオネアに?

Photo by Yuriko Nakao/Getty Images


三男の元妻の「裏切り」も経験


兄弟が自社のビジネスに対し、それぞれに違ったビジョンを持っていたことも要因とされる。また、カールが製造や流通などにおける効率の向上を目的にグループ化していた数十社の連携にも問題があった。

さらに、2003年にはクリスチャンが16年間の結婚生活の末に離婚した元妻のスザンヌが、競合するシューズブランド「ビューティーステップ」を設立。「ビルケンシュトック(スザンヌ)がデザインを手掛ける靴」として販売を開始した。

敵対することとなった両社は法廷闘争を展開。その結果、裁判所は名高い家名を目立つように表示しないことを条件として、ビューティーステップの事業継続を認める判断を示した。

そして、兄弟は2013年、経営の第一線から退くことを決意。アレックスとクリスチャンは創業家の出身者ではない初の経営トップとして、現在のCEOであるオリバー・ライヒェルトを自社に招いた。

ただ、ドイツのスポーツテレビ局の幹部だったライヒェルトには、靴の製造販売に関する経験がなかったため、長年ビルケンシュトックに勤めていたマルクス・ベンスベルクを共同CEOに据えることとした。

新たな経営チームは、傘下にあった38社を瞬く間に合理化。よりスリム化された体制を構築した。さらに、生産を拡大、販売を担当する従業員を増やし、セレブやミレニアル世代の消費者たちが好むよりエッジの効いたカラーやスタイルを取り入れたチャンキーなシューズを発売、売り上げを大きく伸ばした。

その後、同社の売上高は毎年2桁の増加を記録。2019年には約2400万足を販売し、売上高は約8億7000万ドルに達した。現在は100カ国以上でシューズを販売し、世界全体でおよそ4300人を雇用している。

編集=木内涼子

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