ビルケンシュトックが明らかにしたところによると、株式の売却先はLVMHの最高経営責任者(CEO)であるアルノーが出資する投資会社Lキャタルトンと、アルノー一族が運営する持ち株会社フィナンシエール・アガシュ。
独紙デア・シュピーゲルによれば、(現在のビルケンシュトックのサンダルを1960年代に開発した)カール・ビルケンシュトックの息子たち、次男アレックス(52)と三男のクリスチャン(48)は、同数ずつ保有している自社株の60~70%を手放す見通しだという(ただし、同社は詳細を明らかにしていない)。
Lキャタルトンはビルケンシュトックの評価額をおよそ48億7000万ドルと(約5250億円)しており、兄弟の保有資産はそれぞれ17億ドル近く増える可能性がある。
2013年に「脱」家族経営
兄弟は現在、どちらもビルケンシュトックの事業に深く関わっていない。アレックスはマイアミやニューヨークなどで不動産を購入したり、ドイツ南部バイエルン州のテーゲルン湖近くで不動産開発事業を手掛けたりしていると伝えられている。
また、クリスチャンもビルケンシュトック本社から離れた地域で暮らしているとされるほか、長男のステファンは2013年に、保有していた株式を弟たちに譲渡。数百万ドルを手にしたとされている。
250年近く前から靴やサンダルを手掛けてきた一家の家業を継いだカール・ビルケンシュトック(Carl Birkenstock)の息子のカール(Karl)が、同社のトレードマークとなったサンダルを発表したのは、1963年のことだ。
そして、カール(Karl)から3人の息子たちが事業を受け継いだのは、2002年。だが、数十年にわたってカールが一人で舵取りをしていたころとは異なり、その後の運営は順調ではなかった。