国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

実は先週、自動車界に革命が起きた。トヨタ・ヤリスがめでたく欧州カー・オブ・ザ・イヤー賞(略して欧州COTY)を受賞したのだ。

3月2日から開催されるはずだったジュネーブ・モーター・ショー会場で、欧州COTYの代表が欧州トヨタのマット・ハリソン副社長にトロフィを贈呈。「選考委員の皆様に感謝の気持ちをお伝えすると同時に、日本と欧州の開発チームの努力と情熱を評価したいと思います。このヤリスはこれまでで最も優れたヤリスであり、豊田社長の狙いどおり、すでに多くの顧客に微笑みを届けています」とハリソンは語った。

欧州COTYの選考委員59人によるオンライン投票の結果、ヤリスが266点でトップに立った。2位には240点の電気自動車「フィアット・ニュー500」、3位がスペインの元セアット・スポーツから独立したブランドであるクープラ・フォーメンターが239点、そして4位は224点と期待された電気自動車「フォルクスワーゲンID.3」だった。



実は日本車が欧州COTY賞を獲得することは非常に珍しい。

過去57年の歴史の中で4回しか取れてない。2000年のトヨタ・ヴィッツ(欧州名ヤリス)、2005年のトヨタ・プリウス、2011年の日産リーフ、そして2021年のヤリスだ。つまり、トヨタは3回もゲットしているのだ。

正直なところ、欧州のカーメーカーや媒体、そして多くの選考委員は、できる限り欧州の新車にこの名誉を与えたいわけだ。それは当たり前のことだと思う。やはり、欧州COTY賞だからこそ、欧州の車両に獲得して欲しいだろう。そこで、今回のヤリス受賞に対する反応を探るべく、イギリス・ドイツ・イタリアの記事を読んでみた。すると、いつもより高く評価されたのは、ヤリスのエッジーなスタイリング、軽快なハンドリング、そして1.5Lの3気筒ハイブリッドエンジンの燃費と性能だ。また、言うまでもなく、ここ数年ワールド・ラリー選手権でのヤリスの優勝などの好成績も、選考委員たちにとてもポジティブな印象を与えている。

それに、新型ヤリスは欧州の国々でもかなりの人気らしい。欧州COTY賞以外に、今年はフランス、ハンガリー、ポーランド、そしてトルコで、それぞれの国のCOTY賞も獲得している。

この記事では、区別がつくように「欧州COTY」と書いているが、本来は、COTYといえば、欧州COTYを指す。彼らからしたら、銀座とナントカ銀座くらい違うというプライドがある。だから、日本車が欧州の頂点に立つのは非常に難しいことなのだ。

イギリスの同僚に直接聞いてみたところ、こう言った。「ヤリスはとても良いクルマで、欧州COTYの勝利にふさわしい選択ではあります。が、やはりドイツ、イタリア、フランス、イギリスなどのクルマの生産国の選考委員は、どうも自分の国のクルマを他より高く評価する傾向がありますね。特に、あのオレンジ色の元大統領などの影響で、多くの国でプライドというか、愛国心が前よりも強くなっていますからね。だから、ドイツ人の選考委員はドイツ車、イタリア人はイタリア車、そしてイギリス人はイギリスのクルマを選ぶようですね」と言う。

文=ピーター・ライオン

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