花見とコロナと経済損失 そもそも「経済効果」とはなにか?

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3月に入り、首都圏1都3県を対象とした緊急事態宣言が延長された。

都内では3月17日に桜が開花し、24日に満開となると報じられているが、今年も、花見は自粛する方向で動くのだろう。

大学生たちと花見の話をしていたときに、ある学生が「ニュースで花見イベントが中止されると、数100億円の経済効果が失われると言っていた」と発言し、そこで「そもそも経済効果って何?」という話になった。

今回は、この「経済効果」について考えてみたい。

経済効果の考え方


確かに、「経済効果」という言葉はニュースでよく耳にする。オリンピックなどの大きなイベントがあると、「このイベントによって〇〇億円の経済効果が見込まれる」といった具合に使われる。では、この経済効果とは、何を意味しているのだろうか?

経済効果は、直接効果と波及効果に分けて考えられる。さらに言えば、波及効果は、第1次波及効果、第2次波及効果と細かく分けることもできる。1年延期され、いまだ開催されるかどうか答えの出ていないオリンピックを例にして、説明してみよう。

オリンピックを開催するとなれば、スタジアムなど関連施設が建設され、公式Tシャツなどの関連グッズも販売される。これらによって生み出される経済効果は直接効果と言われ、最もイメージしやすいものだろう。

しかし実際には、さらなる経済効果がある。たとえば、スタジアムを建設するうえでは資材が必要になることから、オリンピック開催によって鉄鋼メーカーなど関連産業で生産量が高まる。これを第1次波及効果という。

さらに、オリンピックによって関連産業で働く人の所得が増えたり、新たな雇用が発生したりすることで、飲食や買い物など、人々の消費活動がより活発になるだろう。これが第2次波及効果だ。

経済効果は「ビルを建てるのにいくらかかるから〇〇億円」という単純なものではなく、そのために必要な関連産業にも波及し、かつそこで働く人々の所得などにも影響することで、直接的な効果だけでなく、副次的な効果もあるということだ。
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文=森永康平

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