「コロナ終息まで毎月2000ドル給付を」米民主党左派の救済案、実現なるか

バーニー・サンダース(Photo by Andrew Harnik-Pool/Getty Images)

米民主党の一部議員から、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が終わるまで、国民に毎月2000ドル(約22万円)を直接給付するよう求める声が出ている。この提案について知っておくべきことをまとめた。

現行案との違いは


米議会では現在、3回目の直接給付について審議が行われている。ジョー・バイデン政権が成立をめざす1兆9000億ドル(約204兆円)規模の追加経済対策法案に盛り込まれているもので、1400ドル(約15万円)の一時金を給付する。これに対して、左派のイルハン・オマル下院議員ら民主党の一部議員は、パンデミックが終息するまで、あるいは「米経済が完全に回復する」まで、2000ドルを毎月支給することを求めている。

上院でも追加給付を求める声


民主党の一部上院議員の意見が通れば、追加の直接給付や失業保険の上乗せが実現する可能性もある。左派のバーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンを含むグループは近く、バイデンに宛てて、パンデミックが終わるまで直接給付を繰り返し実施するよう求める手紙を送る予定だ。

すでに公表されているこの手紙の中では、直接給付の額や回数にはふれていないものの、一部の上院議員は以前、パンデミックが続いている間、毎月2000ドルを給付する案への支持を表明していた。手紙には署名していないが、カマラ・ハリス副大統領も上院議員時代にこの案を支持している。

追加給付のメリットは


これらの議員は、直接給付や失業保険は困窮している人を救うために欠かせない措置だと主張している。手紙の中で引用されている米シンクタンク、アーバン・インスティテュートの試算では、1200ドル(約13万円)の一時金を支払い、さらに失業保険などの支援を拡充すれば、1200万人を貧困に陥らないようにでき、もう一度直接給付をすれば、さらに630万人を貧困ライン以上にとどめておくことができるという。

実現の見通しは


ただ、この案が議会で受け入れられるのは難しそうだ。予算規模を考えると、上院の共和党議員の支持はとても得られそうにない。さらに、ジョー・マンチン上院議員をはじめ民主党の中道派議員も、新たな直接給付には引き続き反対しそうだし、繰り返し直接給付を行う案はまず支持しないだろう。自身も中道派のバイデンもおそらく同じだろう。

一方で、国民の間では直接給付を求める声が強いのも確かだ。手紙を作成した民主党の上院議員らは、パンデミック中の継続的な直接給付は米国民の65%が支持しており、共和党支持者でも54%、無党派でも60%が賛成していると言及している。

編集=江戸伸禎

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