「Follow your Heart ─日本人が世界で勝つ方法─」


自然体で流れに乗っかる


竹崎:倉石さんの場合、結婚や出産を機に渡米されました。そういう意味で、場所や時期を主体的に選択したというよりは、パートナーに合わせる形で倉石さんの生活が変わったと思うのですが、渡米後はどのように過ごされていたのでしょうか。

倉石: たしかに日本での仕事が楽しかったので、結婚しなければ、海外で暮らすことはなかったと思います。アメリカへ移住してしばらくは育児中心の生活を送っていましたが、まずは土曜日のみ開校するシアトル日本語補習校での教師を始めました。

それから、フラワーアレンジメントの資格を持っていたので自宅で教室を開き、下の子どもが保育園に入ってからは、留学生向けの就職カウンセリングをパートタイムで始めるなど、自分にできることから少しずつ拡げていった感じです。今はアマゾンでフルタイムで働いていますが、補習校の仕事も続けています。

竹崎:仕事にご家庭に、パワフルですね。日本では仕事にやりがいを感じながら働いていたということですが、新しい土地でやっていくことに不安はなかったのでしょうか。

倉石:主人は子供の頃から宇宙飛行士になるのが夢で、航空学科を専攻し、今はボーイング社で働いています。一方、私は前職では人材開発、研修関連の仕事をしていました。研究対象や専門分野が明確にあるわけではなく、人と接することや相手の成長をサポートすることに重きをおいているんです。

そういう意味では、主人に比べると私の方が場所や仕事に柔軟性があります。彼のやりたい夢がシアトルにあって、それを実現したいというのであれば、私はそこに行って新しい何かを見つけようというスタンスでした。

竹崎:本当にシアトルでキャリアを一から構築されていてすごいです。ちなみに、渡米された時点で具体的なキャリアプランはあったのでしょうか。5年、10年というスパンで計画されていたのか、もしくは、シアトルに行ってからチャンスを見つけようというマインドだったのかが気になります。

倉石:5年、10年というよりは、子供が保育園に入るタイミングや小学校に入るタイミング、ミドルスクールに入るタイミングなど、子供の成長に合わせてキャリアを考えてきました。

アメリカでは、アメリカでの職歴がないと雇ってもらうことが非常に難しいんです。そのため、子どもの成長に合わせて仕事を再開し、レジュメにかける職歴を少しずつ増やしていきました。同時に、アメリカの人材派遣会社に登録し、チャンスがきたときにはいつでもそれを掴めるよう、スキルを身につけ、ネットワーキングをしながら動くことを意識していました。

瀬尾:アメリカでの職歴がつくと、書類の通りがよくなるというのはわかります。私自身も、最初にアメリカで就職活動をした時と前職で数年働いた後に転職活動した時とでは書類の通りやすさが全然違ったので。

倉石:他にも、フラワービジネスでは作品のネット販売もしていました。それ自体がキャリアの強みになったかは分かりませんが、間隔を空けずに仕事をしていますよ、ということを示したかったんですね。私自身、採用の仕事をしていたこともあり、ブランクが大きいとレジュメのイメージが良くないことは分かっていたので。週1の補習校での仕事をずっと続けていたのもそのためです。

ただ、キャリアの損得というよりは、単純に専業主婦が自分の性に合ってないというのもあります(笑)。忙しくしている方が好きで、とにかく何かやっていたいんです。

竹崎:倉石さんは好奇心旺盛な方なので、よく分かります(笑)。

キャリアを一つ一つ積み上げる


竹崎:倉石さんは現在、アメリカのアマゾン本社で働かれていますよね。どのポジションであろうと、アマゾン本社で働くことは多くの日本人にとってチャレンジングなことだと思うんです。入社に至るまでのプロセスを振り返ったときに、キーポイントとなるのはどういう点だったのか教えてください。

辻:私も気になります。子供の成長に合わせて仕事をステップアップさせるのはみんながやりたいことだけど、難しいことだと思うんです。

倉石:アマゾンに入る前よりもアマゾンに入ってからの方がチャレンジの日々ですが。。。ただ、海外でキャリアを構築するうえで、「仕事を選ばない」ということは常に心がけていました。新しいところでゼロからスタートするのだから、職種や役職にこだわらずに、とにかく目の前のチャンスを掴んで、ひとつひとつの仕事に誠心誠意取り組む。そうしているうちに、自然とお声がかかって次の道が開けてきたように思います。

もちろん、焦ることは日々ありました。もともと仕事が好きなのに、アメリカでは一日中子供の世話をして、旦那のご飯を作るばかりのような毎日で。でも、焦れば焦るほど子供にも悪影響なんですよね。だから、とにかく目の前のことに集中していました。アドバイスとしては、要求を上げすぎず、焦らないことが大切だと思います。

文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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