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As Mobile Economist at TUNE, I forecast and analyze trends affecting the mobile ecosystem.

Getty Images

フェイスブックが、ユーチューブ上で公開したキャンペーン動画が物議を醸している。この動画は2月25日の公開以来、約4万回再生されており、約140件のいいね(like)を集めたが、よくないね(dislike)が5000件を突破する事態となっているのだ。

この動画はフェイスブックの「Good Ideas Deserve To Be Found(発見される価値のあるアイデア)」と題した広報キャンペーンの一環で公開されたもので、表面上はスモールビジネスの成功に関する内容となっている。

しかし、この動画は実質的には、パーソナライズされた広告の利点を訴求するもので、アップルが間もなく公開する最新OSの「iOS 14.5」でアプリ内に表示される、トラッキングの許可を求めるメッセージへの同意を呼びかけている。

フェイスブックやグーグルが表示するパーソナライズされた広告は、ネット利用者の個人データで構築されたアイデンティティグラフによって成り立っている。彼らは、アップルのIDFAやグーグルのGAIDのような識別子を利用し、広告とユーザーの行動をトラッキングし、あなたが誰でどんな好みを持っているかを把握して、広告を表示している。

パーソナライズされた広告は、個人の属性に合う広告の配信を可能にするため、スタートアップやスモールビジネスを含むあらゆる企業にとって効果的な広告手法と言える。

しかし、アップルが新たにリリースするOSは、個人のプライバシーを守るため、各アプリやサービスが前もって各ユーザーに、トラッキングの同意を求めるメッセージを表示する仕様となっている。これにより、フェイスブックとグーグルの巨大な広告収入が脅かされることになる。

フェイスブックの今回の動画は、パーソナライズされた広告を維持するために、ユーザーたちに協力を呼びかける目的で制作された。しかし、人々の支持は得られず、いいねを押した人々の割合は、全体の40分の1以下という低い水準に留まっている。

広告業界からも否定的な見方


ここで興味深いのは、彼らの味方であるはずの、モバイルマーケティングの担当者たちも、この動画に否定的な評価を与えていることだ。ある担当者は、この動画が「非常に奇妙だ」と述べている。



問題の一部は、この動画の主張が明確ではない点にありそうだ。この動画は、ビジネスの成功について大部分の時間を割いており、最後のほんの数秒で唐突に、パーソナライズされた広告への同意を呼びかける内容となっている。

筆者としては、フェイスブックにもっとストレートに言いたいことを言って欲しい。それはつまり、「我々はパーソナライズされた広告が人々にメリットをもたらすことを信じており、それはランダムに表示されるあなたと何の関係も無い広告よりも、ずっと良いものだと考えている」というような内容だ。

その上で彼らは、「関連性のある広告を表示したい場合は、OKボタンを押してください」とユーザーに頼むべきだったのだ。

そうすれば、ユーザーは自らの態度を決められるし、フェイスブックはその結果に従うことになる。それが「OK」だったとしても、「NO」だったとしても。

編集=上田裕資

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