パンデミックで米国の10代の「自傷行為」が急増、孤立感の高まりで

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新型コロナウイルスのパンデミックは、米国の10代の若者のメンタルヘルスに壊滅的な影響を与えていることが、非営利団体のフェア・ヘルス(FAIR Health)が行った調査で明らかになった。

フェア・ヘルスは、320億件以上の民間の医療請求記録からデータを分析し、2020年1月から11月までの月ごとの変化を、2019年と比較した。

最も大きな変化はパンデミックの初期に起こっており、2020年の3月から4月の若年層(13歳〜18歳)のメンタルヘルスに絡む問題の保険請求件数は、前年の2倍近くに達していた。項目別では、薬物のオーバードース(過剰摂取)に関連した請求が前年同期比で119%急増し、不安障害と大うつ病性障害はそれぞれ94%と84%の増加だった。

さらに、意図的な自傷行為に絡む請求の件数も、同期間中に99.8%増加していた。フェア・ヘルスによると、これらの数値は11月以降も上昇したままだという。

新型コロナウイルスの感染者数や死者数は数字で把握できるが、パンデミックが人々のメンタルヘルスに与える影響は、簡単に定量化できるものではない。フェア・ヘルスは、精神衛生上の問題を激化させた要因として、恐怖や悲しみ、経済の不安定さ、社会的な孤立などを挙げている。

昨年夏に発表されたCDC(米国疾病対策センター)の報告書によると、2020年6月のうつ病の有病率は前年同期の約4倍に達していた。また、他のいくつかの研究でも、学校の閉鎖によって、若者が周囲から孤立したままになり、精神衛生上の問題に対して特に脆弱になっていることが示された。

ジョー・バイデン大統領は、就任後100日以内に学校を再開することを公約していたが、いつ、どのようにして生徒を教室に戻すかについては、混乱が生じている。

「バイデン政権は、組合のインサイダーの要求に応えるために科学に基づいたガイドラインの修正を続けた結果、その努力を台無しにしている。私は大統領が、子供たちを学校に戻すという約束を守ると信じているが、彼の政権は彼に逆らっているように見える」とメリーランド州のラリー・ホーガン知事(共和党)は述べた。

編集=上田裕資

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