銃器に関する分析を行うコンサルティング会社SAAFの推計によると、2月に米国で販売された銃は約150万丁で、前月比で32%減だったが、2020年2月との比較では10%の増加だった。全米シューティングスポーツ財団も、2月に約139万丁の銃が販売されたと推定している。
SAAFによると、2月の販売数はここ約1年で最低の水準で、2020年3月との比較で100万丁の減少だったというが、例年と比べればまだ高いレベルにあり、昨年の経済や政治の混乱から始まった売上の上昇がまだ続いている可能性がある。
一部の専門家は、2月の購入数の減少の理由に、銃を求める人々が既に購入欲を満たしてしまったことを挙げている。SAAFの担当者は、フォーブスの取材に「需要の飽和によって売上が減速した可能性がある」と述べた。
一方、全米シューティングスポーツ財団は、販売店の在庫が昨年の空前の売れ行きによって枯渇したために、販売数が減少した可能性があると述べた。
SAAFによると2020年に米国で販売された銃は2019年を60%上回る2280万丁で、過去最高記録を更新したという。
銃業界では、FBIが実施する銃の購入の際の身元調査の件数も売上の指標として用いられるが、身元調査のすべてが銃の購入につながる訳ではないため、2つの数字は完全に一致するものではない。先月のFBIの調査件数は340万件以上で、2月としては史上最多を記録したが、2020年のピークの月を下回っていた。
銃規制の懸念で売上は伸びる?
銃器の売上はニュースと密接な関係があり、銃愛好家たちが身の危険を感じたり、銃規制の強化を懸念すると、購入件数が増加する。FBIや専門家たちは、昨年の経済や公衆衛生上の危機、政治の混乱などが人々の懸念を高めた結果、銃の売上が増加したと考えている。
2月の売上の落ち込みが今後も続くかどうかは定かではない。一部の専門家は、ジョー・バイデン大統領が銃規制を強化する姿勢を見せていることが、逆に販売を押し上げる可能性があると考えている。
オバマ元大統領が、銃規制の強化に意欲を燃やした際にも、売上は伸びていた。しかし、トランプ政権が誕生した直後に銃の売上は落ち込み、一部の銃メーカーは経営危機に追い込まれていた。