ウォルシュは17歳でアメリカ陸軍に入隊し、イラクやアフガニスタンなどで勤務した。兵役中に彼はドローンを活用したミッションに参加し、その進化を観察してきた。退役後の2013年にウォルシュは、共同創業者のアレックス・ファレシュと共に、さまざまな事業に取り組み始め、ヴァルカリのコア技術の特許を出願した。
「私たちは、他の起業家がドローンの配送ネットワークを構築しようとする中で、人々が実荷物を受け取る際に必要になる、ソリューションを生み出そうと思い立った」と、ウォルシュは当時を振り返る。
ヴァルカリの「Drone Delivery Station」と呼ばれる宅配ボックスは、コミュニティでの利用を想定して設計されている。最初の顧客となったのはインドのコミュニティで、ドローン配送によって医療物資を受け取る過疎地の人々に利用された。
ヴァルカリは昨年10月にニューヨーク市場に上場する商用ドローン企業の「アグイーグル・エアリアル・システムズ」からの出資を受け、一般家庭向けのスマート宅配ボックスの製造を拡大しようとしている。同社はこのプロダクトを、他のスマート家電と同程度の価格で、消費者に提供することを目指している。
ヴァルカリは、Indro RoboticsやUSOG、Ascend Engineering、Aurora Aerialなどの十数社のドローンサービス企業と提携を結んでいる。同社はこれまで、世界の様々な地域でパイロットプログラムを実施したという。
「ドローン配送にかける野心と規模の点ではカナダがこの市場のリーダーと言える。欧州は2番目で、米国はずっと遅れている」とウォルシュは話す。
累計440万ドル(約4.7億円)を調達したヴァルカリは、現在22人のチームに成長した。今後はさらに規模を拡大し、開発を加速させる同社は現在、コミュニティ向けスマート宅配ボックスの新バージョンを送り出そうとしている。