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ポスト・コロナのニューヨークから


アメリカの金融界総本山であり、最大の銀行であるJPモルガン・チェースは「Digital transformation and the rise of fintech: Blockchain, bitcoin and digital finance 2021」というレポートのなかで、次のような指摘をしている。

・需要が拡大してきているフィンテック(金融テクノロジー)分野に1兆円を超える投資をし、独自のデジタル通貨「JPM Coin」決済プラットフォームの利用を拡大させるフェーズに移行してきている。

・アメリカにおける銀行(フィンテックを強化する銀行側)と非銀行系フィンテック(元々テクノロジーから発展してきた側)との競争はさらに進む。

・(フェイスブックのディエムは)グローバルな利用を可能にしようとしている。ステーブルコイン(法定通貨に連動する暗号通貨)の開発が進み、金融の安定性を脅かす懸念が高まってきている。

・世界人口の2割をカバーする地域では、中央銀行が、今後3年間で「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の発行を進める。

アメリカと並び世界経済のもう一方の牽引役である中国は、他国に先駆けて、中央銀行の発行する法定通貨として、「デジタル人民元」を今年中にスタートさせる見通しである。中国は、偽造紙幣や、紙幣などの印刷、市中への流通や回収の費用を削減する意味でも、デジタル化を促進したいようだ。

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中国は中央銀行の発行する法定通貨「デジタル人民元」を今年中にスタートさせる見通しだ(GettyImages)

法的にも未整備なままでありながら、国家の通貨発行権と徴税権を守るために、国家の管理下にあるデジタル通貨である「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の開発と普及のスピードと、ビットコインなどの仮想暗号通貨のせめぎ合いが、直近の世界の潮流でもある。

1933年の映画「テイク・ア・チャンス」(邦題「当たって砕けろ」)で使われて有名になった「イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン(It’s Only a Paper Moon)」という曲は、エラ・フィッツジェラルドやナット・キングコールもカバーし、1973年のモノクロ映画「ペーパー・ムーン」(ピーター・ボグダノヴィッチ監督)でも使われた。

その歌詞の一節では、「But it wouldn’t be make-believe, If you believed in me(偽物にはならないわ、私を信じてくれているなら)」と歌われているが、ビットコインは、17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブル、18世紀の北アメリカで起きたミシシッピ・バブルと同様、裏付けのないものに価値があると人々が信じ込み、熱狂的な投資が起こっていると言えなくもない。

世界各国は、ビットコインも含めて仮想通貨の取り扱いは、法整備もまだら模様だ。何を信じて信用が醸成され、どう普及して世の中を変えて行くのか、今後の成り行きを見守りたい。

連載:ポスト・コロナのニューヨークから
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文=高橋愛一郎

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