ビジネス

2021.03.12

派遣社員から巨大企業グループ最年少執行役員に。勝因は『仕事の主語』にあり?

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本来ビジネスで戦うのは社外であるべきだ。チカラ任せのプロレスよりも、合気道のように相手の力を自分の力に変える方法を身につけていくことで、自分より強力な人たちも、意見が異なる人たちも、最終的には仲間となって応援してくれるようになる。

このような進め方ができると、敵視されることはなく、逆にどんな人でも上手に付き合える。特に、プライドの高い人は相談をすればするほど、意外にかわいがってくれるものだ。

上司は、親と一緒で選べない。だが、うまくやっていけたり、協力が得られる体制は、運任せではなく、自分で作っていくことができる。自分なりのやり方で、いわゆる「処世術」というものを手に入れることができる。僕はペコペコしたり、媚びへつらったりすることは苦手だが、誰にでも仲良くしてもらえる方法を体得した。このやり方はその後の僕の大きな成功方程式につながっていった。

鬼コーチによる、「プレゼン猛特訓」


上司の中には、厳しいけれど熱心に指導してくれる人もいた。マーケティングのバックグラウンドを持った説明の上手な上司は、部下の成長のために、資料の作り方から、プレゼンの練習まで、毎日毎日熱心に教育してくれた。

僕は、マニュアルや解説書を作るのはお手の物だったが、大義名分を立てたストーリー仕立てのプレゼン資料の作成や、ましてや役員会で話す方法などは知らなかった。プレゼンが下手な自分が人前で発表練習させられるのは、苦痛と恥ずかしさのダブルパンチだったが、ここはグッと堪えて、小学生のように言われた通りに特訓をした。

しかも彼女の指導はかなり厳しいのだ。

「ストーリーが大事」「なんかくどくてよくわからない」「もっとシンプルに」「全然伝わらない」「もっとはっきり自信を持って」「ここはゆっくり」……

実は大塚に来て仕事を教えてもらったのは、これが初めてだった。うまくできないのが恥ずかしいし、苦手だし、嫌で仕方なかった。でも、大人になった僕に、真摯に向き合って厳しく指導してくれる人は果たしてどれだけいるだろうか? そう考えた時に、こんな恵まれたチャンスはないと思えた。

この時の学びは、その後もずっと生きている。今では、プレゼンが仕事になっているほどだ。
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