能條(続き):実体験として、私はデンマークに留学していたのですが、デンマークって大学生が国から月に7万円がもらえて勉強に集中できるという環境があるんです。その値段が1万円下がることにみんながめちゃめちゃ怒って、デモしたり、大学を閉鎖したりしてて。それだけみんなが怒ったらやっぱりやめるんですよね。
投票ではないけど、「その権利を私たちはもっともらっていいはず」と思ってちゃんと声をあげていれば、権利が守られるのを見て、声を上げたら変わるんだなと思ったんです。「この人たちへの政策を切ったらこの人たちから見放される」と思って、変わることはあると思います。
田中:特に去年のアメリカ大統領選の時は、多くの若者が自ら発信したり、興味を持って投票に行ったりしたと思うんですね。それを見てると、バイデン大統領になってから環境問題に関することがすごく進んだり、政権の中に多様性がある人材を登用したりしていて、若者が興味あるトピックの優先順位が上がった例のひとつかなと思います。
──実際、政治に自分の意見が反映されたと感じたことはありますか。
能條:去年「これは政治、変わったな」と思ったことが2つあって、ひとつはゼロエミッション宣言が出されたことです。日本もまずそのスタートラインに立ってほしいなと思って、署名をしたり活動している人を応援していました。宣言が出て「やっとか」とも思ったけど、ちゃんと1つずつ変化しているなと感じました。宣言後には新聞などでも気候変動の話が多くなって、こうやって政治が変わると社会も変わるんだと思いました。
あとは緊急避妊薬を薬局で処方できるようにしようという動きがあったことです。これも活動を応援し、ニュースを見ていたので、議論が盛り上がってきて嬉しいなと思いました。
田中:私自身は問題意識やモヤモヤしてることはあるんですけど、まだちゃんと届けられてないというのが正直なところです。
パートナーシップ制度など、私にとっては多様性を認めるのは当たり前の感覚で、認めて良くない? と思っていたことに対して、足立区議の差別発言などがあって、実際に変えていくべき人がそういう発言をすることに本当にびっくり。まだまだそんな状況なのかと思います。さらに問題意識をもって、自分の声をもっと届けなきゃと思いました。
U30世代が考えるソーシャルグッドとは?
政治に興味をもちたい!でもどうやって?
──政治ってこんなに面白いのに!という経験があれば教えてください。
続木:私は京都に住んでいるのですが、大阪都構想の住民投票の結果をNYNJの大阪府民メンバーとハラハラしながら見る時間が新鮮でした。
NYNJに入って面白いなと思ったのが、選挙結果を見る時のみんなの顔の輝きがすごくて。ゲーム感覚ではないけど、それくらい楽しめるイベントであってもいいのかなと思います。
能條:私が政治ってめっちゃ面白いな〜と思ったのは、NYNJをやる前に選挙事務所でインターンをしていた時です。正直、選挙は大人の文化祭だなと思いました。大人が「この人を当選させたい」という思いだけでやっている。いろんな人が集まってその人を応援してる環境が純粋に楽しかったんです。いろんなストーリーがあるので選挙は面白いんですよね。
選挙は応援できる人か、一緒に話せる人がいると楽しくなるなと思います。どっちがいいと思う? とかそういう話をすると、相手の価値観を知ることもできて楽しいです。