億万長者の厳しい世界について執筆

Photo by Drew Angerer/Getty Images

植物由来の代替肉メーカー、米ビヨンド・ミートの株価が過去1年ほど、ジェットコースターのように乱高下している。昨年2月末に2019年通期決算を発表した直後には54ドルの安値に沈んだが、10月には194ドルまで反騰した。

米ペプシコとの提携を発表した今年1月26日には、40%高の221ドルに急伸した。市場ではそのころ、オンライン掲示板「レディット」に集う匿名のトレーダーたちが、ゲームソフト小売大手ゲームストップの株を大挙して買い、その株価を急騰させていた。これにより、ゲームストップ株の下落を当て込んで空売りしていた機関投資家は買い戻しを余儀なくされ、巨額の損失を被った。

ビヨンド・ミート株の空売り勢もこの動きに反応した。同社株の取引高は1月26日にピークの3300万株をつけたが、2日後には400万株に急減。一時27%あった空売り比率は月末までに13%に落ち込んだ。

ビヨンド・ミートの株価はなお、かなり割高な水準にある。時価総額を年間売上高で割ったPSR(株価売上高倍率)は23倍と、米テスラ(24倍)に近い数字だ。足元の時価総額約90億ドル(約9600億円)は、植物性代替肉の2019年の市場規模よりもたった50億ドル少ないだけだ。

こうした高い評価は、市場の勢い(モメンタム)に基づいている。英銀バークレイズは、代替肉の売上高は2029年には1400億ドルに達し、食肉の売り上げ全体の最大10%を占めるようになると予測する。このとおりなら年平均25%超の急成長を遂げる計算だ。

堅調な成長を遂げてきたビヨンド・ミートだが、最近の業績の伸びは絶頂期には遠くおよばない。2020年は、第2四半期こそ新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)にともなうパニック買いの効果があったものの、第3四半期の売上高は前年同期比2.7%増、第4四半期も3.5%増にとどまった。

ビヨンド・ミートは飲食店向け販売の伸びにも急ブレーキがかかっている。また、これまでのところダンキンとピザハットを除くと、米国の大手ファストチェーンでも大きな成功は収められていない。最大のライバル、米インポッシブル・フーズがバーガーキングやチーズケーキファクトリー、ディズニーと提携しているのと対照的だ(編注、2月25日には米マクドナルド、米ヤム・ブランズと複数年の契約締結を発表した)。

こうしたなか、期待が高まっているのがペプシコとの提携事業だ。ビヨンド・ミートとペプシコは、新たなスナック食品などを開発するため合弁会社を設立した。ペプシコの最高商務責任者(COO)、ラム・クリシュナは「合弁会社には高い志をもっている。一つだけでなく複数のカテゴリーに参入できるようにしていきたい」と述べている。

編集=江戸伸禎

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