BBCレポーター大井さんに聞きたい!キャリアと子育てのこと | #U30と考える

新連載「U30と考えるソーシャルグッド」 ゲストは、BBCレポーター大井真理子


大井真理子
2017年、BBCワールドニュースに出演時

私たちは、どういう世界を次世代に残しているんだろうか


NYNJ 続木:私たちの世代は、就活で企業選びをする際やそのほか日常的にも何か選択をする時に、それが「ソーシャルグッドであるか」つまり、社会に良い影響をもたらすかを特に強く意識する世代だと言われています。今回の企画は「U30世代とソーシャルグッドを考える」なのですが、大井さんは「ソーシャルグッド」と聞いて何を考えますか?

大井:母親の立場として、皆さんや私の子どもたちの世代が社会貢献について考えなきゃいけない状況にしてしまっているのが申し訳ない、というのが最初に抱く思いですね。6歳の長女が、水を出しっぱなしにしている3歳の弟に対して「そんなことしたら地球がなくなっちゃうよ!」と言っているのを見て、私たちはどういう世界を次世代に残しているんだろうと考えてしまいます。私も報道という仕事を通して、何ができるのか最近特に考えているところです。

NYNJ 続木:「申し訳ない」というのは、私たちにとって新鮮な視点です。最後に、これからキャリアを選択していく若者たちにキャリアと子育てに関して伝えたいことを教えてください。

大井:私が入社当時、上司に言われたアドバイスを伝えたいです。子どもを産める時期は限られているから、キャリアを追う中で子どもが欲しいかどうかを考えておくことはとても大事。仕事と両立することに関しては、「me time(自分の時間)」を持つことも大切だと思います。

子育てが中心の生活になると、自分が自分でなくなってしまう感覚になることがあるんです。例えば、昔の私だったら絶対にやりたかったワシントン特派員などの仕事も、子育てを考えると無理かなと思ってしまう。でも、あれだけ憧れていた仕事を応募もせずに諦めるなんて私らしくないんですよ。だから、大きなプロジェクトに集中するようにしています。家に子どもを置いて出てくることに罪悪感を感じることもあったけれど、私らしくいられるように好きな仕事だから続けられる。キャリアと子育てを両立するためにも、皆さんには自分が大好きな仕事を選んでほしいなと思います。

大井真理子
夫のスカイ・ニールさんと家族で記念写真。子育てでは「子供を必要以上に子ども扱いしない」がモットーだ

取材を終えて


3人のお子さんを育てながら仕事を続ける忙しさを、生き生きと楽しそうに語る大井さんの姿に勇気をもらいました。私たちU30世代も未だに「家事は女性がするものだ」という風潮から抜け出せていません。就活の面接、親からの一言、ドラマのワンシーン、様々なところで無意識のうちにその風潮を受け入れてしまっているからだと思います。でも、私たちのつくりたい社会は、子どもを持たない人も、産んで仕事を続ける人も、性別に関係なく個人の自由が認められる社会です。大井さんのお話からも、母親としての自分だけでなく、1人の女性、ビジネスパーソンとして尊重される場所を見つけることの大切さを学びました。


大井真理子◎「BBCワールドニュース」の日本人初のレポーター兼プレゼンター。1981年東京都生まれ。シンガポールを拠点に、アジア発の朝のニュース番組「アジアビジネスレポート」のプレゼンターを担当。取材拠点はアジア全域に渡り、時事ニュースのほか、経済、自然災害、無差別テロの現地報道から特集の制作まで幅広く行う。BBC.comへの記事執筆や、ドキュメンタリー番組の製作も担当。


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文=田中舞子(NO YOUTH NO JAPAN)

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