BBCレポーター大井さんに聞きたい!キャリアと子育てのこと | #U30と考える

新連載「U30と考えるソーシャルグッド」 ゲストは、BBCレポーター大井真理子


NYNJ 続木明佳:特に報道という仕事は、何か起こったら現場に行ってレポートをするなど、予想外のスケジュールが多く、子育てをするには大変な印象があります。

大井:そうですね、特に出張が1番大変です。幼い子どもを置いていくことに罪悪感はありますし、頻繁に母親がいなくなってしまう状況を子どもにどのように説明するか悩みました。でも、嘘をついて誤魔化すのではなく正直に言った方がいいと私は思っています。だから、3歳の長男にも「ママが働いてお金を稼ぐからご飯が食べられるんだよ。これが資本主義なの」と伝えています(笑)6歳の長女は私の仕事を理解しているようです。

BBC
2018年、歴史的な南北会談を韓国と北朝鮮のDMZ(非武装地帯)からライブ中継した

NYNJ 田中:メディアで取り上げられている「キャリアと子育てを両立する女性」は、みんなスーパーウーマンですごい方たちという印象です。大井さん自身、普通のお母さんと一緒だなと思うことはありますか。

大井:以前、他メディアでコラム連載を書いていた時に、ヘルパーを雇っていることを書くか迷いました。でも、実際彼女がいないと、いまの生活は成り立たないので、その存在をないように扱うことはよくないと思って書いたんです。案の定、一部の人からは「母親失格だ」という意見が返ってきましたが、記事を読んでいる方々の「この人はなんで両立ができているの?」という疑問にちゃんと答えたかった。私の両立生活は、人の手助けのおかげで、いまが成り立っていることは声を大にして伝えたいです。

シンガポール
次女を抱えるヘルパー。彼女がいるからこそ、子育てをしながらキャスター業を続けられるという

本当のジェンダー平等とは?女性なら誰でもいいわけではない


NYNJ 和倉莉央:キャリアと子育てを両立できる社会を作るために、ジェンダー平等の考え方は不可欠だと思います。しかし、2020年の日本のジェンダーギャップ指数の順位は153カ国中121位と、世界の中でも目立って悪いですよね。どのようなところが改善されるべきなのでしょうか。

大井:日本の全てが悪いとは思わない反面、私が日本を見ていて感じるのは、会社に対して「それ、おかしくないですか?」と言いづらいカルチャーです。この中で声をあげて女性蔑視の風潮を変えていくことは、とても大変なことだと思います。

あとは、女性が活躍できる場所を作ることも大切です。BBCでは「50:50プロジェクト」といって番組出演者の男女比を等しくするプロジェクトをしています。海外では多くのメディアが参加しているのですが、日本からは1社のみ。なぜ日本のメディアは参加してくれないのかなと思います。このプロジェクトを通して、女性のゲストを増やすことの難しさも分かりました。私たちが戦い続けなければ変わらないと感じます。
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文=田中舞子(NO YOUTH NO JAPAN)

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