投資のアノマリー「月替り効果」、その効果は薄れたか?

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株式市場には、「月替り効果(The turn of the month effect、別名TOM効果)」というアノマリーがある。歴史的に見ると、ある月の株式市場の利益のすべてが、月替り前後のわずか数日間で生じるという現象だ。それ以外の期間については、市場は伸び悩み、悪くすると平均に回帰する傾向にある。

つまり、歴史に学ぶなら、この数日間に投資を行うことがリターンの向上につながるはずだ。それ以外の期間は、ただ傍観することが理にかなっている可能性すらある。

月替り効果とは


定義はさまざまに異なるものの、一般的には、ある月の最終取引日から翌月の最初の3取引日までのあいだに株式を保有することで、いわゆる「月替り効果」の恩恵を得られると、多くの人々が主張している。もう少し時間枠を広くとって、6日間、あるいは月の前半すべてを含めるべきだという意見もある。

この効果が生じる理由はよくわかっていない。ただ、市場流動性と関連した取引と絡めて説明する理論もある。つまり、多くの企業や投資主体、一般投資家では、現金の支払いがしばしば月末に集中するため、月の変わり目には、こうした支払いから生じた資金が株式市場に還流し、リターンを押し上げるというのだ。

世界的なトレンド


月替り効果は世界中で検証されており、ほとんどの国にあてはまるようだ。ある研究では、オーストラリア市場では効果の信頼性が低かったものの、研究対象となった20カ国のうち19カ国で効果が確認された。時間的・空間的条件を問わず効果が成立すると見られることは心強い。

とはいえ、株式市場におけるさまざまなアノマリーの例に漏れず、低調なパフォーマンスが数十年にわたって続いた例もある。

この効果は薄れたか?


カレンダー効果に合わせた戦略を投資家が取り入れるのは簡単なので、この効果の存在が広く知れ渡るようになれば、効果は消失するはずだ。アトランタ連邦準備銀行が2000年に発表した論文によると、1991~1999年の期間、S&P500先物市場とスポット市場の両方で、月替り効果はほとんどみられなかった。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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