朝日新聞外交専門記者


2月23日、自民党コロナ対策本部感染症対策ガバナンス小委員会が開かれ、厚生労働省が変異株対策について報告した。

政府与党が今、一番懸念しているのが新型コロナ変異株の流行だ。会合が開かれた時点で、日本で確認された変異株は178例。1週間前よりも27例増えていた。変異株の本格流行が始まると、第3波以上の脅威になるとされ、早期発見の必要性が指摘されている。

与党内では、主に国立感染症研究所だけが担っている変異株の解析検査を地方機関や大学、企業などにも担わせるべきだという意見が出ていた。

だが、この日の会合で厚労省が示した案は、「研究分野」の検査だけを地方などにも開放し、「監視分野」の検査は従来通りとするものだった。出席議員の1人は「あいつら(厚労省)、門戸を開放して自分たちの許認可権限が減ることを恐れている」と怒った。もちろん、厚労省幹部たちは門戸開放を迫る自民党に対し、一度たりとも言葉を荒らげたり、嫌みをいったりすることはなかった。

安倍政権当時の2014年、内閣人事局が設置され、政治家が霞が関官僚の人事に口を突っ込む機会が激増した。菅首相も「気にいらない奴は飛ばす」手法でのし上がった。

官僚は政治家を恐れ、ひたすら頭を低くしているが、一方ではしたたかに生きている。山田広報官が接待を受けた店をよく知る与党幹部は「普通に食事しても7万円はいかない。きっと高級ワインを開けたんだな」と語る。週刊文春のスクープがなければ、きっと同じ事が繰り返されていただろう。

その昔、知り合いの官僚が「キレる上司も嫌いだが、本当に怖いのは、本音がわからない上司」と語っていた。ある日、上司の局長が担当局内の課員に政策の説明を依頼した。局長室で静かに話を聞いた後、当時課長だった私の知り合いを呼んだ。この局長は課長の顔を見るなり、表情を変えずに「あの課員は使えない。飛ばせ」と言い放ったという。

どこに悪い奴がいるかは、心してみないとわからない。

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文=牧野愛博

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