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全米レコード協会(RIAA)は2月19日、2020年の音楽業界の年間売上高のデータを発表した。今年の数字からは、パンデミックで家に閉じこもりがちになった音楽ファンが、レコード盤のコレクションに多くの投資を行ったことが見えてくる。

ほとんどのレコード店が休業した中においても、2020年のレコードの売上は、2019年に比べて28.7%増加した。多くのレコード店は近年、世界最大のアナログ盤のオンラインマーケットプレイスとして知られるDiscogsを通じて販売を行っている。

レコードの売上は2006年に瀕死の状態になって以降は上昇に転じ、2010年代初頭からのストリーミングの盛り上がりと連動して伸び続け、所有欲を満たしたい音楽ファンの需要に応えている。RIAAのデータによると、昨年のレコードの売上は6億2600万ドル(約670億円)を突破し、ストリーミングやダウンロードを含む業界全体のコンテンツ売上の5.2%を占めていた。

RIAAによると、昨年は1986年以降で初めて、レコードの売上がCDを上回った。一方で、CDの売上は、レコードが成長しているのとほぼ同じペースで急落し続けており、昨年は前年度比23%マイナスの4億8300万ドルに縮小した。また、iTunes(現在のApple Music)やアマゾンが提供するダウンロードサービスの売上も下落が続いており、レコードの売上は今年中にダウンロードを上回る見通しだ。

レコード市場のもう一つの注目すべきトレンドは、Discogsが開示した2020年の売上ランキングからも見えてくる。レコードはもはや、過去の名盤のための市場ではなく、ビリー・アイリッシュのような現代のアーティストの楽曲を聴くメデイアとなっている。アイリッシュがリリースした限定LPアルバム「Live at Third Man Records」は現在、Discogsで最低45ドルから、高いもので200ドルもの価格で販売中だ。

RIAAによると、2020年の音楽業界のコンテンツ売上は122億ドルで、前年度比で9%増だった。これは堅実な成長ではあるが、2016年以来続いてきた二桁成長(特に2018年から2019年は13%増だった)には届いておらず、この鈍化はパンデミックに起因するものだと考えられる。

ストリーミングの売上シェアは83%


ストリーミングの成長も継続中で、成長率は音楽業界全体を上回っているが、そのペースにはやや陰りが見られている。スポティファイプレミアムやアップルミュージック、アマゾン・ミュージック・アンリミテッドなどの有料サービスの売上は、ストリーミング市場の64%を占めている。

一方で、ユーチューブやVevo、Facebookなどの広告付きストリーミング・サービスのシェアが約10%、パンドラやiHeartRadio、Sirius XMなどのデジタルラジオサービスのシェアも約10%となっている。全ての形態のストリーミングの売上の合計は、録音音楽市場の83%を占めている。

これらの数字は、音楽業界の2つの主要な収入源を反映していない。その1つは、昨年3月以降、ほぼ全てが消えてしまったライブパフォーマンスからの売上だ。もう一つはソングライターや音楽出版社が音楽出版事業から得た収入だ(RIAAはレコーディング・アーティストやレーベルが得た収入を計上している)。

音楽出版収入の規模は、録音された音楽収入の約3分の1となっている。全米音楽出版協会(NMPA)は、2020年の売上データを6月に開示する予定だ。

編集=上田裕資

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