米国が「平常に戻る」のは2023年以降に、ビル・ゲイツが指摘

ビル・ゲイツ(Photo by Mike Cohen/Getty Images for The New York Times)

米食品医薬品局(FDA)は2月27日、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製の新型コロナウイルスワクチンに緊急使用許可を出した。米国で使用が認められたコロナワクチンはこれで3例目となったが、マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツは、米国人が完全に普通の暮らしを取り戻すためには、まだかなりの時間が必要だと警告した。

28日にCNNの番組に出演したゲイツは、今年の秋には米国人の暮らしの一部に日常が戻ると述べ、「すべての学校は再開し、レストランのキャパシティもある程度回復し、スポーツイベントも再び開催可能になるだろう」と話した。

しかし、ゲイツは「大きな問題は、世界的なパンデミックを終わらせるための十分な対策が取られていないことだ」と警告した。彼によると、これまでのところワクチンは「金持ちの国」のみに配布されているため、感染力が高い変異株が海外で広がり、それが米国に忍び寄るリスクが残っているという。

このような、再感染の波が到来する可能性を考慮に入れると、完全に平常な状態に戻るためには、「より良い仕事をしない限り、2022年の全期間が必要になる可能性がある」とゲイツは述べている。

インドのような国にワクチン工場を増設すれば、海外での感染リスクを軽減し、より早く平常に戻れるかもしれないとゲイツ氏は示唆し、すでにそのようなプロジェクトに取り組んでいるワクチンメーカーとして、アストラゼネカやノヴァヴァックス、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの名前を挙げた。

米国の感染症対策のトップのアンソニー・ファウチ博士も、28日のCNNの番組で、米国には現在、3つの「本当に良いワクチン」があり、米国人は「何のためらいもなく服用すべきである」と述べた。ゲイツも、西側諸国で承認された5つのワクチンについて、同じ気持ちを述べた。

「悲しいことに、CDC(米国疾病予防管理センター)は、初期のタスクでわずかな遅れをとってしまった」と、ゲイツは28日に述べたが、これは初期段階の検査体制が十分ではなかったことを指している。
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編集=上田裕資

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