ビジネス

2021.03.08

もう裏方という時代ではない。成功するアウトプットは併走する法務にあり

LegalForce 代表取締役CEO 角田望

金融とテクノロジーを融合した「フィンテック」などをはじめとするAI革命があらゆる業界を席巻する中、法務の領域にもテクノロジーによる改革「リーガルテック(法律とテクノロジー)」の波が押し寄せている。

法務が日々直面している「作業効率の課題」解決の鍵を握るといわれる、リーガルテック。近年、リーガルテックを専門に事業展開する企業は数十社以上に急増しており、中でも急成長株として注目されているのがリーガルフォースだ。

創業3年以内のスタートアップを表彰するForbes JAPANのイベント「RISING STAR」にも選出され、今年2月には、シリーズCラウンドで新たに30億円の資金を調達し、好調な業績に裏打ちされた将来性が高く評価されている。今回、CEOの角田望に、起業に至った経緯や事業化までのプロセス、企業ミッションについて話を聞いた。

リーガルとテクノロジーの可能性に賭けて 法務の課題解決をサポート


LegalForceは2019年4月、大量の契約書のレビュー時間を大幅に短縮し、法務の業務を加速化させるプロダクト「LegalForce」をリリースし、一躍注目を集める。事業の柱となるのが、AIと自然言語処理を活用した「契約書レビュー業務」の品質向上と効率化するソフトウエアの提供だ。契約書をサービス上にアップロードし、契約類型(業種業態によって異なる契約の種類)と自社の立場を設定すると、独自で開発したAIが契約リスクのある文章や抜け漏れを瞬時にチェックし、修正例を解説とともに表示する。

創業者は、法曹界出身の若き起業家、角田望(代表取締役CEO)と小笠原匡隆(代表取締役 共同創業者)。2人は、業界最大手の森・濱田松本法律事務所で企業法務を担当していたが、キャリア4年目を迎えて起業を決意し独立の道を選んだ。が、起業した時点で、現在の事業の骨格をなすプロダクトの構想は明確にはなかったという。



「テクノロジーを使って新しいサービスの形を追求したいという好奇心がまずありました。リーガルとテクノロジーってすごい可能性を秘めているんじゃないかと。損得勘定というよりは、好奇心に駆り立てられていったというところが大きかったですよね」と、角田は創業当時を振り返って言う。

もちろん、法律事務所の勤務時に痛感していた大量のドキュメントを読んでリスクを洗い出すという日々のルーティン作業を通じて、「契約書を自動で作れたら利便性が上がる」などのアイデアはあったが、事業の柱をどれにフォーカスするかははっきりと定めていなかった。2017年4月の独立当時、「完全な文系」だという角田と小笠原の二人はIT知識を積むため、テックキャンプへ通ったり、自宅でコードを書いたりといった「地道で無謀な挑戦」を経て、試行錯誤しながらも、ようやく事業構想を明確化させる。
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文=中沢弘子 編集=坂元耕二 写真=西川節子

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