デジタル変革を目指す企業が暗礁に乗り上げている理由

Who is Danny / Shutterstock.com

社会のデジタルシフトが進む中、私たちを取り巻く環境は大きく変わっていきます。デジタルを積極的に活用しようと変革に取り組む企業が増えてきました。しかし残念なことに、DXバブルに踊らされてブームに乗る形になってしまい、迷走し暗礁に乗り上げてしまっている場合もあります。

私たちも、そうした企業から、相談を受けることが増えています。それらの事例を整理してみると、デジタル変革が迷走するケースは、大きく5つに整理されることがわかりました。

1)経営者の掛け声ばかりで、担当者不在


一つ目は、トップが「デジタル変革するぞ!」と意気込み、推進者も不明確なまま企画部や社長室などのサポート部門が担当するケースです。

企画部や社長室は調整が主な業務であり、現場経験やシステム経験が少ないため、リーダーシップを必要とする変革業務は不得意です。

進め方について色々な人の話を聞き、様々な部門を集めて打合せを重ねるのですが、時間ばかりが過ぎ全く進まないことも多いようです。

2)専任部門を設置しても、ノウハウ不足で停滞


二つ目は、デジタル推進部、新規ビジネス準備室などの新設部門が担当するケースです。

新設部門は変革をミッションとしていますが、その経験は不足しています。

社内で会議を重ねても、同じ会社で同じ育ちの人が話し合っていますから、アイディアが浮かばず停滞してしまうことが多いようです。

最近では外部人材を積極的に採用し活性化を図ろうとする企業も増えてきましたが、デジタル変革の経験を持つ人材は少なく、コンサル会社やシステム会社出身者を採用し、却って混乱を深めてしまっていることもあるようです。

3)マーケ部門が盛り上げるが、全社的には何も変わらない


三つ目は、マーケティング部門が担当するケースです。

デジタルマーケティングを手掛けるマーケティング部門は、デジタルに精通していそうに見えますが、事業やシステムへの理解が浅く、コンセプトはつくりますが、広告以外の業務は他部門に丸投げになってしまいます。

彼らはサポートとして広告代理店などを活用し、Web広告を増やし、高額なCRMシステムを導入して、結果的に、全社的に活用されることもなく費用がかさむばかりになることが多いようです。
次ページ > 結局、自然消滅する場合も

文=鈴木康弘

ForbesBrandVoice

人気記事