新型コロナウイルスのパンデミックによって改めて鮮明になったのは、あらゆる業界でこれまでのビジネスモデルが思うように機能しなくなっていることではないだろうか。ポストコロナ時代にも世界を揺るがす社会変動は、いつ、どんなかたちで襲ってくるかは、誰にも予測がつかない。昨今、このような時代を生き抜くためにデジタル・トランスフォーメーション(以下DX)やオープンイノベーションの必要性が叫ばれているが、そもそもその本質を見誤れば、ビジネスを成功に導くことはできないだろう。
こうした不確かな時代をチャンスとして捉える大きなヒントとなるシンポジウムが2020年11月11日に開催された。製薬会社のアストラゼネカは、行政、アカデミア、大企業、中小企業、スタートアップの結節点となる「i2.JP (innovation infusion Japan、読み方:「アイツ―・ドット・ジェイピー」)」を発足した同日、スウェーデン大使館の協力を得て、「ヘルスケア・イノベーション・エコシステムの新たな可能性(Accelerate Healthcare Innovation Ecosystems through COVID-19)」を開催した。
アストラゼネカは2014年のスウェーデンを皮切りに現在まで世界15カ国で、「ヘルスケア・イノベーション・ハブ」を展開。医療業界の新たな価値創造を目指している。「i2.JP」は、16カ国目のグローバルハブとして新たに仲間入りを果たした格好だ。オンライン、オフラインを駆使して行われた国内外のスピーカー4名とパネリスト8名による本セッションは、ヘルスケアの枠を超えるほどの大きな反響があった。
本誌は、その翌月の12月23日、モデレータを務めた慶應大学医学部教授であり、データサイエンスのスペシャリストでもある宮田裕章を取材し、このシンポジウムの意義、世界の先進例の注目点、日本のポテンシャルなどについて話を聞いた。その内容を2回にわたって公開する。
前編では、アストラゼネカのグローバル・イノベーションハブの拠点として大きな成功を収めているスウェーデンのエコシステム、「BioVentureHub(バイオベンチャーハブ)」にフォーカスを当て、日本が学ぶべきポイントを解説してもらった。後編では、発足したばかりの「i2.JP」がグローバルでどのように存在感を示していくべきか、その展望を語ってもらった。
「i2.JP」が、スタートアップを世界に羽ばたかせる
“革新的なテクノロジー、サイエンスを使って社会の抱える課題を解決したい”と日本でもソーシャルビジネスの機運が急速に高まっている。
ここ20年ほど日本のGDPは横ばい状態が続いている。残念ながら先進国の中ではもっとも成長が遅れているというデータがはじき出されているのだ。このような膠着した社会システムに風穴を開ける主役とも言えるべき存在がスタートアップだ。
いま、地方自治体が中心となって日本各地に「イノベーションエコシステム」が次々と構築され、スタートアップを育てようとする取り組みが加速しているのはポジティブな変化が起こる予兆と言えそうだ。
そんななかでも、本シンポジウムにパネリストとして参加したOIH(大阪イノベーションハブ)のイノベーション推進部の中村奈依は、アストラゼネカのプラットフォーム「i2.JP」に大きな期待を寄せる。
「2013年に大阪市が設立したOIHではスタートアップとステークホルダーを結びつけるイベントを数多く行ってきました。現在はグローバルコラボレーションのパートナーとして、シンガポール、台湾、タイ、フィリピンなど、アジア各国のプラットフォーマーと提携し、あらゆる領域のスタートアップがインバウンド、アウトバウンド双方で挑戦できる場をつくり上げています。また海外のスタートアップの日本参入も支援しています。
実は、医療、ヘルスケアに関しては、どれだけ素晴らしい製品、サービスを生みだしてもスタートアップが世界に進出するハードルはとても高いと感じていました。ヘルスケアはそもそも国ごとに法律、制度が違い、どのような手続きを踏んでいけば、承認されるのかそのノウハウがないし、導いてくれるエキスパートもほとんどいないというのが日本の現状だと思っています。アストラゼネカはすでに世界中にネットワークを有しています。『i2.JP』のエコシステムにスタートアップが積極的に参入することで、日本のヘルスケア分野は飛躍的に成長していくと期待しています」
東京都と「i2.JP」が共有する、エコシステムとしての「思想」
2020年1月、東京都はスタートアップ・エコシステムのグローバル拠点としての地位を確立するため、「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」を設立。7月には、国から、「グローバル拠点都市」として選定されている。「Global Startup Ecosystem Ranking 2020」で、東京は15位にランクされているが、「ポテンシャルを考えれば、満足できる数字ではない」と、東京都戦略政策情報推進本部特区推進担当部長の米津雅史は力を込めて、世界にメッセージを送った。
「もちろん、反省材料もあります。ダイバーシティという観点も含め、“東京を開かれた街に!”というスローガンを打ち出し、これまでさまざまな方々とのコラボレーションを行ってきましたが、それはどちらかというと“点”のような側面が多かった。これからは、“面”として、企業同士を繋げることに加え、多種多様な業種を巻き込んでいかなければならないと思っています」
米津の着眼点はまさに「i2.JP」のポリシーとも共鳴するもので、エコシステムとして機能していくためのカギとなる要素を的確に指摘しているのではないだろうか。
「ヘルスケアの分野でいえば、日本国民、あるいは日本に滞在している外国人一人ひとりの健康と命に寄り添うという、エコシステム全体の“思想”を打ち出していくことが大切です。多様な人々が働き、暮らす都市だからこそ、ブレてはいけない軸が必要になるでしょう」
アストラゼネカが世界で展開している、「ヘルスケアイノベーションエコシステム」は、それぞれの国のアーキテクチャにコミットし、“共創力”を重視している。それこそ大阪市と東京都は、このエコシステムをプラットフォームにして、パートナーシップをより深めていくことも可能なのだ。
宮田裕章の視点①――グローバルで成功するためには、その国、地域の持続的発展に寄与できるかに意識を置く
「新型コロナウイルス感染症が世界に深刻な影響を及ぼすなか、待望されていたワクチン接種が日本でも2月中旬から順次、開始されました。アストラゼネカは、オックスフォード大学と共同開発したウイルスベクターワクチンを1億2千万回分供給することで日本政府と最終合意に至っています。これで日本が導入を予定するのは、米国のファイザー社、モデルナ社の核酸ワクチンを含めて3候補に絞られました。
そのなかでも私はアストラゼネカ製のワクチンにとても期待しています。ファイザー製やモデルナ製が劣ると言いたいわけではありません。むしろ、両社のワクチン開発に携わった研究者たちには頭が下がる思いです。
ワクチンを製造できる国には現地生産が可能なように惜しみなく技術提供を行う、アストラゼネカの企業としての姿勢に共感しているのです。日本でワクチンを生産する場合も、原液の製造についてはJCRファーマが、バイアル充填から保管・包装といった製剤化は第一三共とKMバイオロジクスが、保管・配送をMeiji Seikaファルマが担うことになっています。そこには、日本企業とパートナーシップを結び、オープンイノベーションによって生産能力の向上を図る体制が築かれています。日本だけではなく、ブラジル、インドなどでも同様に現地で生産することでワクチンの供給体制を強固にしています。
実は、臨床試験の結果を見ると、これらのワクチンは発症予防、重症化予防には高い有効性が示されていますが、感染予防や、どれだけ効果が続くのか、長期における副反応があるのかなどは、今後、長いタームのなかで評価していくことになります。さらなるメジャー変異株が流行した場合、既存のワクチンでは有効性が示されないケースが出てくる可能性も否定できません。さらに長期戦になることも想定しておかなければなりません。そのときに輸入頼みだと、いつ新しいワクチンが来るのかと、社会は再び不安に包まれるでしょう。しかし、生産体制が各国で整備されていれば、ワクチン製造の最終工程を少し工夫するだけで、改良版がつくれます。アストラゼネカはそこまで考え、各国にワクチンを提供しているのです。まさに持続可能な供給体制を考慮したオープンイノベーションのなせる業と言えるでしょう。アストラゼネカのヘルスケアイノベーションエコシステムのビジョンが具現化されている、いちばんわかりやすい例だと、私は思っています」
アストラゼネカ1社だけでは、イノベーションは起こらない
日本では、企業の生き残りという文脈で語られがちなDXだが、テクノロジーで先進をいく国はそうではない。むしろ、社会全体を巻き込んでDXを推進しているように思える。
スウェーデンは、シリコンバレーや深センに匹敵するほど、先進的なスタートアップやユニコーン企業がイノベーションを起こし国の経済成長を後押ししているが、米国や中国のような覇権主義からは距離を置いている。そもそもスウェーデンが国家戦略としてDXに力を入れているのは、AI、IoT、5Gといったテクノロジーを活用して老若男女、移民も含めて誰ひとり取り残さない温かい社会の構築を目指しているからだ。政府と国民、企業と人、企業と企業の信頼関係が根底にあってDXを加速していると言えそうだ。
スウェーデンの各都市にはさまざまな領域で数多くのイノベーションエコシステムがあり、スタートアップの成長の起点となっている。
アストラゼネカのヘルスケア・イノベーションハブの最初の拠点としてヨーテボリに誕生した「BioVentureHub」は、「The Medici Group」から、世界で最も革新的なインキュベーター(ベンチャー支援者)の1つとして認められ、ダボス世界経済フォーラムでも優れたエコシステムとして絶賛されている。
「BioVentureHub」のイメージ写真
この「BioVentureHub」でサイトシニアディレクターを務めるマッティ・アルクヴィストは、本シンポジウムでイノベーションエコシステムの重要性を次のように語っている。
「テクノロジーやサイエンスの発展によって、これまで以上に患者さんに寄り添えるサービスを生みだすことが可能になりました。また、患者さんの医療に対する期待も高まっています。デジタル、データ、AI、サイエンスに革新が起きているなかで、アストラゼネカの取り組みも変わってきているのです。たくさんの変化があるなかで単一の組織では、患者さんの期待に応えることも、また、患者さんが抱える課題を解決することも難しい。組織の枠を超え、オープンにイノベーションのアイデアを実現していくことが重要になってきているのです」
製薬会社が薬をつくって売ればいいという時代はすでに終わっている。疾患の発見、診断、投薬・手術、治療、治療後の健康維持までの患者が辿る過程を注視し、そのプロセスのなかで体験価値を提供しなければならない時代が到来している。単一企業ですべてをフォローすることはできないと言うのだ。
アストラゼネカの場合は、「4D+E」というコンセプトを掲げ、さまざまな企業とパートナーシップを結び、カスタマーディライト(顧客感動)を実現している。マッティはその仕組みをこう説明する。
「『4D+E』とは、医薬品(Drug)、医療機器(Device)、診断技術(Diagnostics)、デジタルヘルス(Digital health)の頭文字である『D』を取ったものです。そこにエクスペリエンスデザイン(Experience design)の『E』を加え、それぞれの領域で先頭を走る企業、アカデミア、革新的な技術を開発したスタートアップとのコラボレーションを幅広く行っています。「BioVentureHub」は、その結節点の役割を担います。
アストラゼネカとは違う領域、例えば、医薬機器のメーカー、診断技術でいえばAIの企業のチームなどが同じ拠点で働いているのです。彼らはアストラゼネカの施設や人材にアクセスし、同時にアストラゼネカは彼らのスキルにアクセスできる。また、アストラゼネカのプラットフォームであっても、必ずしも私たちと協働する必要はありません」
「i2.JP」は、「BioVentureHub」のようなフィジカルな拠点はもたないが、「4D+E」のコンセプトは共有されている。医療機器領域ではオムロン、オンライン診療ではMICIN、診断技術ではエクサウィザーズなど著名な企業がすでに参画している。課題を共有できるスタートアップなら、「i2.JP」を起点にこれらの企業のバックアップを受けながら、アーリーな段階で世界に飛び立つことも可能だ。
現在、アストラゼネカは、さらにスケールの大きなプロジェクトをスタートさせている。国内外の大企業、アカデミア、起業家、パブリックセクター、スタートアップを招聘するため、「BioVentureHub」の周囲に近未来型のスマートシティ、「GoCo Health Innovation City」のインフラを整えている。完成した暁には、ヘルスケア領域の聖地となるだろう。
GoCoの外観写真
宮田裕章の視点②――日本のスタートアップに求められる、海外展開への意識
「日本のスタートアップの多くは、これまでシリコンバレーや深センの成功モデルを参考に国内向けのサービスをつくり上げてきた側面があるでしょう。もちろん、それを否定するつもりはありません。しかしながら、「i2.JP」のように最初からグローバル コ・クリエイションを念頭に置くエコシステムにアプローチする方法も選択肢に加えておいたほうが賢明です。たとえ日本市場で通用しないサービスだとしても、グローバルプレーヤーと連携することによって新たなチャレンジの場が生まれるからです。これはヘルスケア領域に限った話ではありません。
一方、スタートアップを育てるマルチステークホルダー側は、ニーズが世の中にあるのかとか、人々がそのサービスを受け入れるのかといった狭義のKPIに左右されるのではなく、持続可能なビジネスモデルになりうるか、社会にどんなインパクトを与えるか、スタートアップが気づかない部分まで分析したうえでサポートを行っていくことがとても重要になります。
シンセティックMRは、いかにしてグローバル企業に成長したか
日本でもいくつかの大学病院で採用されているので、シンセティックMRIが提供する、“SyMRI”の検査を受けた人もいるかもしれない。
シンセティックMRは2007年に創業した、スウェーデンの国立大学リンショーピン大学発のスタートアップ。スウェーデンでは、大学において新たな技術を開発した場合には、その発明者が商標権を獲得できるルールがある。自らの発明を世界に広めるために創業した会社がシンセティックMRである。
「私たちが提供しているソフトウェア、“SyMRI”を活用すれば、従来のMRI検査のように長い時間をかけなくても、患者さんの病気の状態を評価できるのです」
こう述べたのは、同社のクリニカル・リサーチ・サイエンティストのカタリナ・ぺテレセーン。本シンポジウムにオンラインで参加した彼女は、シンセティックMRがどのような過程でグローバル企業に成長したかを語ってくれた。
「“SyMRI”を使用すれば、スキャンは毎回6分だけに短縮できます。さらに脳の組織に関してこれまで得られなかった情報を取得し、分析することも可能になりました」
“SyMRI”は、もともとは長時間の検査では精神的に負担が掛かる小児や認知症患者の問題解決のために開発されたソフトウェアだという。医師にとっても一日に多くの人の検査と、必要な情報を多岐に渡って得られるメリットがある。
「小さなスタートアップなので、たくさんのコラボレーションパートナーの協力なしには、ここまでの急成長はありえなかったと思っています。2014年に「BioVentureHub」が誕生したことが転機になりました。このエコシステムに参加すると、小さなスタートアップでも主体的に活動ができるのも魅力です。さまざまな企業と連携することで世界のマーケットに対してアクセスできるようになったことで“SyMRI”は毎年、バージョンアップしています。さらに、脳の病気の発症の可能性のある人のデータを得ることも可能となりました。こうした情報を「BioVentureHub」にフィードバックすることで、医者が病気を未然に防ぐこともできるようになったのです。このことは、エコシステムに参加する最大のモチベーションになっています」
現在、シンセティックMRの社員数は23名でありながら、米国にも支社をもつ。ひとつの画期的なサービスがエコシステムのなかで機能し、大きな飛躍を遂げた。スウェーデンにはこうしたスタートアップの例がいくつもある。
カタリナは、他国の市場に参入するにあたり、「Business Sweden」の存在も、非常に心強かったという。
スウェーデン大使館の驚くべきスタートアップ支援
「Business Sweden」は、スウェーデン大使館の商務部、投資部のことで、スウェーデンの企業がビジネスを国際市場に拡大するときのサポートと、他国の企業がスウェーデンに進出するときにマルチステークホルダーを結びつける役割を担う。
国際情報力に優れ、世界各国の法律、税制、言語、文化に精通している大使館だからこそ、きめ細かな支援ができる。「Business Sweden」の商務参事官カーステン・グローンブラットが世界のビジネスの潮流を話してくれた。
「世界中がヴァーチャル上でつながりビジネスサイクルが変わっていくなかで、米国や中国のテックジャイアントだけでなく、スタートアップが既存の産業の垣根を超えて活躍しています。DX、データへのアクセス、オープンイノベーションによって、斬新なサービスの創出が可能となったのです。そのなかでもオープンイノベーションの定義はだいぶ変わってきているように感じます。従来のオープンイノベーションはインハウスで価値創造を行ってきた線形のモデルでした。しかし、ソリューションまでのスピード感が重要となってくる新たな環境下では機能しなくなってきています。私たちは、アストラゼネカのように開かれたネットワークと多様性を重視したエコシステムへアプローチできる企業が成功すると考えています。つまり、多様性、ノーズ(結節点)の数、シナジー効果といったところが、オープンイノベーションで重要になってきっているのです」
新たなコミュニティでは、世代間、人種間、ジェンダー間に壁をつくってはいけないということだ。会社のルールに縛られていては結節点を1つも見つけられないかもしれない。日本社会においては、社内ベンチャーや副業によって人材の流動性を喚起する必要があるかもしれない。
ヘルスケア領域では、「Business Sweden」はスタートアップが世界で活躍するためにどのようなサポートを行っているのだろうか。
「ブリッジングに尽きると思います。まずは、現地のニーズをしっかりと理解すること。次に診療報酬、保険償還などその国の制度に適応すること。これらは大前提だとアドバイスしています。シンセティックMRのように新たなテクノロジーを活用する企業は、現地の理解を得なければなりません。そこには当然、ミスマッチが生まれるので、そこをブリッジングします。現地企業の協力がなければ、オープンイノベーションは成果をもたらしません」
カタリナは、「Business Sweden」から、日本への進出の際、次のようなアドバイスをもらったという。
「日本の方々とのコミュニケーションの仕方も教わりました。日本人は何を大切にし、外国人のどんな行動を嫌うのか。他国の歴史や文化に対してのリスペクトも成功の条件になると思います」
宮田裕章の視点③――いままでのKPIを変えることで、未来を予測できる
「いままでの日本は、世界に進出するときに、自社製品を売るためのKPIにこだわり過ぎていたのかもしれません。これからの日本企業は、自社のサービスによって現地が潤うということを出口に、サスティナビリティにコミットしたKPIが要求されます。グローバルで日本企業が活躍するカギはそこに尽きると思っています。
ヘルスケア業界はいま急速にDX化が進んでいます。体験価値の本質から、ビジネスを再設計するということが世界中で起きています。
薬を患者に届けるというモデルだけでは、患者起点のビジネスとはいえません。ヘルスケアアプリが臨床試験を通過して薬として認可される時代です。人々にとって薬とは何だろうかと問い直したとき、その概念は大きく変わるはずです。薬を必要とする人にとって最適なタイミングはどこだろうか。薬だけで病気が治るのか、あるいは症状が治まるのか。完治が見込めない患者にとってQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは何だろうか。こうしたところまでコミットするには体験価値を可視化するためのデータが重要です。とても、ひとつの企業で完結できる話ではありません。だからこそ、アストラゼネカは、世界各地にヘルスケア・イノベーションハブを構築したのです。そして、各国のエコシステムがデータを共有し、セキュリティに配慮しながら、ボーダレスなコ・クリエイションを推進する。それがイノベーションの源泉となっているわけです」――後編に続く。
▶アストラゼネカ i2.jp
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