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2021.02.27 07:00

トヨタが400億円注ぐ空飛ぶタクシー「Joby」がSPAC上場、24年に始動へ

(c) Joby Aviation

(c) Joby Aviation

カリフォルニア州でeVTOL(電動垂直離着陸機)の開発を進める「ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)」が、リンクトインの共同創設者のリード・ホフマンと、ソーシャルゲーム企業ジンガ創設者のマーク・ピンカスが設立したSPAC(特別買収目的会社)のReinvent Technology Partnersとの合併により、上場することが2月24日に発表された。

合併によって誕生する企業はニューヨーク証券取引所に上場し、時価総額は66億ドル(約7000億円)に及ぶと予想されている。ジョビーのCEOのジョーベン・ビバートは、トヨタ自動車の出資を受けて、モントレー郡に45万平方フィートの工場を建設しようとしている。ビバートはそこで年間数千台の航空機を製造し、エアタクシーネットワークで都市の交通を激変させる計画だ。

2009年にジョビーを設立したビバートは過去10年の間、ヘリコプターのように垂直に離着陸可能な航空機を開発するために秘密裏に活動を続けてきた。トヨタは2020年に約4億ドル(約425億円)をジョビーに出資し、億万長者のジェフ・スコールや、スティーブ・ジョブズの未亡人のローリーン・パウエル・ジョブズ、ウーバーらと並んで同社の出資元となった。

ホフマンとピンカスは、ジョビーの興味深いパートナーになりそうだ。彼らは昨年、Reinvent Technology Partnersを立ち上げた際に、他のSPACとは異なるアプローチを取り、合併相手との長期的な関係を目指していくと述べていた。

ピンカスはジンガを成功させた経験を元に、ホフマンはペイパルやリンクトインなど数多くの企業との関わりで得た知見を投入し、ジョビーを「次の10年」に導いていくことになる。2人は航空宇宙分野はおろか、ハードウェアの経験もないが、ビバートとJobyのエグゼクティブチェアマンであるポール・シアーラは、彼らが正しいパートナーであると述べている。

ビバートとシアーラは、1000回以上のテスト飛行を経て、彼らの航空機の設計を完了させ、2023年には米国連邦航空局(FAA)から、史上初となる電動エアタクシーの安全認証を取得しようとしている。

彼らは、ジョビーの取締役会にホフマンが参加することが、次のステージに向けた重要な助けになると考えている。それは、ホフマンが築き上げてきたソーシャル・ネットワークとも関わりがあると彼らは話している。ビバートとシアーラは次のステージで、専用の離着陸ポイントなどのネットワークを整備しようとしている。「私の仕事は、個人の価値と社会の価値を増幅させるヒューマンネットワークを再定義していくことだ」と、ホフマンはフォーブスの取材に述べていた。
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翻訳・編集=上田裕資

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