「飾りのパセリ」で食生活改善? カリウム摂取のすすめ

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僕はこの数年、食材の特製を理解し、それぞれがもつ「umami」を組み合わせることで、減塩や塩なしで料理をすること取り組んできました。

その考え方や調理法は、日頃から食事や健康に気を使っている、いわゆる“意識の高い人”たちには受け入れられやすく、小さな変化を感じながら心地よく続けられているようですが、友人の多くからは「もっと簡単に、便利にできる方法ないの?」と詰め寄られています。

確かに、食材のumamiを引き出すのは時間がかかるし、面倒です。コロナ禍によって随分と時間ができ、家庭で自炊をする人が増えてはきましたが、それでも忙しい。そんな人々に伝えているのが、「飾りのススメ」です。

飾り、それはパセリやネギやハーブ、またはステーキについてくるクレソンなど。レストランで仕事をしていて、厨房に戻ってくるお皿をチェックすると残っていることがほとんどですが、これらは実はカリウムを多く含む食材で、ナトリウムの排出に大きな役割を持っています。

盛り付けている側が飾りとして使っている可能性も高いですが、パセリはカリウムを多く含む食材の代表例。揚げ物に当たり前に添えられているのにはやはり意味があったようです。まさに目から鱗です。

ステーキに添えてあるクレソンも、“消化を助けてくれる存在”だと認識している人は多いかもしれませんが、その役割を認識している人は少ないはず。また、付け合わせに多い芋系は、糖質を気にして避ける人も増えていますが、これもカリウムを多く含みます。


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僕の地元・福岡に目を向けると、うどん屋やラーメン屋には必ずと言っていいほど丼いっぱいに刻んだネギが置いてありました。これも、好きな麺を食べるときに、せめて「ご免(麺)なさい」と言ったところでしょうか?

好きなものを食べたいという欲に、人はなかなか勝てないと思います。それならその分、自分に懺悔というか、寄付だと思って贖罪をしてはどうでしょう。“飾り”を残さず食べるだけで食生活は少し改善します。

日本人の食塩摂取量が多いことは知られていますが、実はカリウムに関しては、平均基準に足りていないと言われています。そんな理由からも、減塩のためにカリウムを多く含む野菜の摂取が促進され、菜食主義がずいぶん流行になってきました。


出典:塩分支援管理協会

ナトリウムに対してどれだけのカリウムを摂ればいいかはまだ結論が出ていませんが、まずは意識して摂取をすることが健康への近道と言えそうです(腎臓病の方はカリウムを制限する必要があります)。

世界中で高血圧が問題視され、その一因である塩に着目した減塩の取り組みが進み、ベジファーストや積極的な菜食もずいぶんと浸透してきましたが、この“食べ忘れ”は落とし穴だったのではないかと思います。フードロス問題への意識も求められるなか、自分自身のフードロスを振り返ることが、血圧改善にもつながる。少しの気づきが大きな変化になるはずです。

連載:「喰い改めよ!!」
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文=松嶋啓介

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