スマニュー・鈴木健の熱血討論 アメリカを旅して見えた分断と民主主義


スマートニュースはなぜローカルに注目するのか


Q 分断を超えていく時である今、スマートニュースがローカルに注目しているのはなぜですか。

スマートニュースはアメリカでは特にローカルにコミットしていて、様々なローカルの出版社とパートナーシップを結んだり、ローカル専門のチャンネルを作ったりしています。


鈴木がロードトリップで出会ったメディア人

アメリカでロードトリップをやると、やっぱりみんな地元のニュースを知りたがっているということに気づく。でも、ローカルな情報源がどんどん減っている「ニュース砂漠」と呼ばれる現状があります。

ローカルの出版社の人、新聞社の人に会いに行きましたが、本当に地元の人に愛されています。ただ、ビジネスモデルが成立しないからどんどん潰れている。そこに何とか貢献したい。

もうひとつは、ローカルがアメリカの民主主義の中で持っている力が大きいからですね。

トクヴィルの発見のひとつは、アメリカの民主主義が街の民主主義(タウンシップデモクラシー)から生まれているということです。個々の街の運営、経営について、コミュニティのボトムアップによって意思決定されている。その感覚というのはアメリカの地元の政治家の人とかアクティビストの話とかを聞いて、根付いている印象を強くもちました。


鈴木がロードトリップで出会ったアクティビスト

これは、ある種アメリカで突然変異的に起きたことですが、僕はここに民主主義の可能性を感じていて、賭けていきたい。

3億人のための民主主義に比べると、3万人の方がテクノロジーを通してできることも大きく、そこを探っていきたいなと思っているんです。

インターネットとかテクノロジーにより、この30年間で民主主義が発展したとは言えません。テクノロジーは、他の領域(例えば情報や市場のボーダレス化)では発展したのに、なぜ民主主義にだけポジティブな影響を与えられないのか。原因は、テクノロジーに携わる人間の怠慢ではないかと思うので、ちゃんと仕事していけば、大きなインパクトを出せると思っています。

そのヒントとして、ローカルにおける民主主義があるんじゃないか。トクヴィルが200年前に発見したのはそこだし、人間の認知限界で3億人を想像するのは大変でも、3万人だったら想像できる。直接話しやすいというのもある。そこをサポートできれば大きいと思う。

民主主義は、自分がやったことによって世界が変わっていくという経験のプロセスの中でしか強化できないんです。そういったものが実際の手応えをもって発見できるということ、しかも小さな積み重ねによって(民主主義の営みが)起きていっているというふうにあるべきです。だから、ローカルには注目しています。
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文=Forbes JAPAN編集部

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