経済・社会

2021.03.14 11:30

スマニュー・鈴木健の熱血討論 アメリカを旅して見えた分断と民主主義

アメリカの分断は、2000年代から始まっていたのか──。ニュースアプリ「スマートニュース」の米国版をローンチした2014年のこと。創業者の鈴木健は調査機関「ピューリサーチセンター」の記事を読んで衝撃を受けたという。

それは、すでに2000年代にはアメリカで共和党支持者と民主党支持者との間の分断が発生していたことを示すものだった。

「現地でスマートニュースの事業をどういうふうにやっていくのか考えている時に、この記事を読んで大変印象に残りました。こういう現象を理解するには実際にアメリカを回ってみるしかないと思い、ロードトリップをしようと思ったのです」

鈴木が旅立ったのは、トランプやヒラリー・クリントンが各党の候補になるために予備選挙を戦っていた2016年の初めだった。それ以来、昨年の大激戦の大統領選挙まで、鈴木はアメリカのスモールタウンまで分け入るように、長旅を重ねた。

分断がショートタームではなく極めて長い時間をかけて起きている。今、生起している現象の真実を見たいという思いがあったという。

「2016年2月に僕と共同創業者の浜本と、アメリカのメンバーのヴィンセントの3人で3週間ロードトリップをしました。メインの目的はアメリカの田舎とかで普通に生活をしている人と話をしたいと。もうひとつがアメリカの保守を知りたいというのがありました」

東海岸と西海岸の大都市がアメリカの全てではないのに、リベラルの多いこれらの街を見ただけでアメリカがわかった気になってしまうことを鈴木は警戒する。

「南部の中でも大都市ではなくて本当に田舎町に行ってみたいとアメリカのメンバーにお願いすると、『保守と言ってもすごい多様だから1カ所回っただけでわかった気にならないほうがいい』と。『だから、何カ所も回るんだ』」

鈴木のなかにはずっと、大学時代に読んだフランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』のイメージが残っていたという。

イギリスから独立し民主主義が勃興していくアメリカで各地を歩いて見聞した情報から、トクヴィルが民主主義の強さ・弱さについてまとめたのが『アメリカのデモクラシー』だ。「外国人だからこそ見えてくるものがある」という実例は、あえて日本人がアメリカを見る旅をする理由にもなる。

二度目の大統領選挙を見届け、米国から戻った鈴木は1月22日にオンラインで「大統領選2020報告会—スマートニュースCEOが見たアメリカの現在地とこれから」を開催した。ニュースアプリを運営する立場で民主主義をどう見ているのか、特に分断が叫ばれる米国でどのような形で情報を届けようとしているのか。報告会で鈴木が語った内容を紹介しよう。
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文=Forbes JAPAN編集部

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