イノベーション・エコシステムの内側


また、「私は人々が去っていくことにワクワクする。常に企業は別の可能性に目を向けるべきであり、必ずしも本社をシリコンバレーに置く必要はない。私は、ここを去る企業に拍手を送り、祝福を与える」と語るのは、IgniteXのマネージングディレクターのCarmen Hughes氏だ。カリフォルニア州の企業でこれまで多くのテックブランドや企業の立ち上げや規模拡大を支援してきた彼女の言葉だと思うと興味深い。

では、シリコンバレーの時代は終わるのだろうか。Michelle氏は、そうとも限らないと言う。

談笑するスタートアップ企業の社員
Photo by You X Ventures on Unsplash

Crunchbaseによると、2020年の世界のベンチャー資金は、前年比4%増の3000億ドルとなった。一方で、アーリーステージの投資が減少し、レイトステージの投資が増加するなど投資傾向に変化が見られた。M&Aも増加し、2020年には1300社以上の買収者によって1500社以上の企業が1490億ドルで買収されており、最も活発な買収者はApple、Microsoft、Ciscoだ。

また、以前のシリコンバレーには、オフィスから半径50マイル(約80m)以内の企業にのみ投資するという「the 50-Mile Rule」を守る投資家もいた。取締役会に出席したり、CEOとランチをしたりと、深く直接的に投資先企業と関わることを大切にしていたのだ。しかし、コロナ禍の影響で投資家はチームと直接会わずに投資を行うようになり、これまで投資対象に当てはまらなかったシリコンバレー以外の企業がシリコンバレーの投資家から資金調達する新たな機会が生まれている。

また、企業や弁護士、コンサルタントにも変化が生まれている。Mark White氏は「コロナ禍において、企業は従来とは違った側面からビジネスを見つめ、人員やオフィススペースの最適化を再考している。これは、過去のビジネスのやり方に縛られずにユニークで予想外な新たな方法を試す機会であり、この変化はサポート側の弁護士やコンサルタントのサービスの変化にも波及している」と語る。

社会的距離を置く必要に迫られた事により、電子商取引、遠隔医療、オンライン会議、オンラインでの買い物や配達等のサービスが整備され、孫と話すために祖父母がFaceTime、WhatsApp、Zoom等を使うようになった。2021年1月のConsumer Electronics Show(CES)もバーチャルで行われ、新しいタッチレスデバイス、保護マスク、細菌を破壊するUVCロボット、コンタクトトレースハードウェア、洗練された空気清浄機など、コロナ禍の私達の生活の質を向上させる多様な技術が紹介された。

もちろん課題もある。

文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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