米疾病対策センター(CDC)は、N95マスクについて「吸い込む空気から粒子を取り除くことができる保護マスクの一種で、非常に小さな粒子(0.3ミクロン)を少なくとも95%除去できる」と説明している。またCDCは、N95マスクには「細菌やウイルスを含むあらゆる種類の粒子を除去する能力がある」としている。N95マスクが医療従事者だけでなく、一般市民からもしきりに求められているのはそのためだ。
新型コロナウイルスのより強力な変異株が驚異的な速さで広まっている現在、N95マスクを求める動きはさらに加熱している。欧州の一部の国では、変異株の急速な広がりを抑えるため、既に医療グレードのマスク着用が義務化された。
しかし、こうした状況が悪用される可能性もある。N95マスクに対する空前の需要がさらに高まり、消費者がいくらかかったとしてもマスクを手に入れようとする中で、偽造マスクへの懸念が高まっているのだ。
米国土安全保障省の主要調査機関である国土安全保障調査部(HSI)は、今月17日までの数週間で、約1100万個の偽造されたN95マスクを押収したと発表。押収はマスク製造業者3Mとの協力の下で行われた。発表によると、3Mは「医療従事者のために購入された偽造と疑われる商品の報告を共有」したとされている。
国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官は「今回の押収は、人々や医療従事者を偽造品から守るためにHSIや米税関・国境取締局(CBP)、民間産業が現在行っている取り組みを示している。(…)こうした闘いは見えない部分で行われ、一般市民には知られていないことが多いが、国土安全保障省は米国の医療従事者や市民の健康・安全、そして米経済の完全性を守ることに断固として取り組んでいると安心してもらってよい」と述べた。
米移民税関捜査局(ICE)が今月17日に掲載した報道発表では「HSIは過去2週間、刑事上の捜索令状を基に米全土の5つの州で複数回にわたり捜索を実施し偽造マスクを押収した。今後数週間でさらに令状の執行が進むことが見込まれている」と説明されている。