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2021.03.25

「何に投資するか」が個性になる時代/変身〜尖ったスモールビジネスの投資価値〜#3

株式会社マクアケ代表の中山亮太郎(写真左)、スモール・ジャイアンツアワードEL BORDE特別賞を受賞した福岡のグリーンリバーホールディングス株式会社代表の長瀬勝義(写真右)を迎え、スモール・ジャイアンツアワードの視聴者参加型スピンオフイベントがオンラインで開催された。

かつてない速さで変化する時代のなか、たしかな技術力と企業規模ゆえのフットワークの軽さで世界にインパクトを与え、躍進するスモール・ジャイアンツ。彼らが起こしてきた「変化」のストーリーを届けていく連載「変身〜尖ったスモールビジネスの投資価値〜」の最終回。

Forbes JAPAN スモール・ジャイアンツアワードのスピンオフイベントが2月4日に開催された。テーマは、地方のスモールビジネスの「変身」。

地方のスモールビジネスへの造詣が深い株式会社マクアケ代表の中山亮太郎、スモール・ジャイアンツアワードEL BORDE特別賞を受賞した福岡のグリーンリバーホールディングス株式会社代表取締役の長瀬勝義を迎え、眼前の危機をチャンスに変えるための重要ワード「変身」をテーマに、大逆転・飛躍のための視点と方策を語り合った。


「地方にしかできないビジネス」で勝ちにいく


イベント前半のテーマは、「地方の尖ったスモールビジネスの真価」。全世界が新型コロナウイルスによって変革を余儀なくされているが、この局面だからこそ、スモールビジネスのフットワークの軽さ、そして「変身する力」が危機脱出のヒントになるのではないか。
 
「地方のスモールビジネスといえば、資金がない、人材や情報が足りないなど、課題が取り上げられがちだが、一方で強みはどんなところにあるのか」。イベントは進行役のForbes JAPAN WEB編集長 谷本有香の問いかけから始まった。

「何と言っても、ものづくり。それぞれの地域には長年にわたって培われてきた産業があり、それが武器となります」

こう語るのはアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」を運営する株式会社マクアケの中山。長く地方のスモールビジネスを見続けてきたからこその知見をもつ彼は発言を続ける。

「地域ごとにさまざまな色があります。デジタルで起業、というような都市部のスタートアップとは違い、ものづくりを核にした幅広いビジネスモデルの構築が可能になっている印象がありますね」


株式会社マクアケ代表の中山亮太郎(撮影:小田駿一)

それに対して、まさに地方の特色を生かしつつ、再生可能エネルギー事業・次世代農業事業を手掛けているグリーンリバーホールディングス株式会社の長瀬も同意する。

「地方にいる身として感じるのは、東京は消費力ではダントツですが、地方は生産に特色があるということ。言い換えれば、実際にモノに触れることができる機会が多いということですから、そこには圧倒的なリアルがあるのです。東京などと比べると情報発信力には弱みがありますが、それもSNSの浸透によって、形勢が変わりつつあります」


グリーンリバーホールディングス株式会社代表取締役の長瀬勝義(撮影:吉澤健太)

地域の伝統的なものづくり企業の中で、先端技術を活用して新たな展開を遂げるスモールビジネスは少なくない。例えばスモール・ジャイアンツアワードの第1回グランプリを受賞した京都のミツフジ株式会社は、西陣織の技術をベースに、当初は抗菌効果のある製品として開発していた銀メッキ繊維の導電性を利用して、ウェアラブル・デバイスの開発に転身し、IBMに協業をもちかけられるほどに成長した。このように、時代に適応しながら変身する可能性を地方企業は秘めている。

グリーンリバーホールディングス株式会社も、そんな企業の一つだが、長瀬は、自らの変身について次のように説明する。

「私たちは元建設業で、大手ゼネコンの下請けを務めていました。でも将来的な成長を考えたときに、誰にも真似ができない事業をやりたいと考え、太陽光発電に着目したのです」

今では太陽光発電所の設計・施工での実績を積み重ね成長するグリーンリバーホールディングス株式会社だが、その変身は止まらない。

「今は、タワー型の水耕栽培装置を開発してバジルを栽培するなど、農業に展開しています。ITによるデータ管理もワンセットになった、誰もが手軽に始められるビジネスモデルです」

その農業事業の展開も、やはり地方の特色を生かしている。ベースにあるエネルギー再生の技術を農業につなげる考えから、岩手県の八幡平では地熱エネルギーを利用。また佐賀県ではゴミの焼却場によって発生する温室ガスを植物工場で光合成に利用するというように、その地方に合ったモデルを構築しているのだ。


グリーンリバーホールディングス株式会社が開発したタワー型の水耕栽培装置。空きスペースの活用、減農薬などのメリットがある。

「変身のきっかけ」はどこにあるのか


ただ、こうした変身はけっしてたやすいものではないはずだ。さまざまな課題をどのようにクリアしていけばいいのか。長瀬の答えはシンプルだ。

「私たちも、けっしてゼロから1を作り出してきたわけではありません。ないものを作るのではなく、自分がこういうものがあったら楽しそうだな、便利だな、というものを考えただけなのです。プロセスとしては、自分がこれまでやってきたことを全く違う視点から眺め、分析して、すでにある別の何かと組み合わせてきました。そうして、ブロックを組むように応用分野を生み出してきたのです」

中山も、多くの地方企業を見てきた経験を踏まえて話す。

「若者のスタートアップはデジタル中心です。なぜなら、『デジタル以外』は彼らにとって難易度が高いからです。流通やものづくりなどは、当然ベテランの方が経験値が高い。しかし、製品や装置など、フィジカルなものは、実はそれほど参入障壁が高くありません。ものが作れるということだけで強みになるのです。そう言うと首をかしげる人もいるかもしれませんが、私から見ると、そんな時代に“戻った”という印象があります」

一方、新しい変身には、ある種の「痛み」が伴うはず。例えば、社員の気持ちなどは未知のチャレンジについていけるものなのか。

「何より自分が楽しそうにやることが大事です」

長瀬の答えは、そんな意外なものだった。

「私たちの会社も、最初は抵抗勢力がいました。古株の社員は『社長が、また妙なことを言い出したわ』という反応。でも、私がいつまでも楽しそうにやっていると、『ちょっと、その話、聞かせてよ』と興味をもつ社員が出てきます。大変そうだけど楽しそうだな、と感じてもらうことで、社内を巻き込んでいける。私はそういう経験をしてきました」

中山に、「変身のきっかけ」について聞いてみると、

「2つあると思っています。1つは技術の深掘り。もう1つは消費者サイドに向き合うパターンです。前者はスモール・ジャイアンツに登場するB2Bの会社に多いケースですが、保有する技術に磨きをかけ、異なる分野に出て行く。2つ目は、消費者の新たなニーズに光を当てていくことがきっかけになるケースです」

具体例について尋ねると、

「まずは、四日市にある株式会社中村製作所。この会社は金属加工で高い技術力を持っていますが、センスのいいデザイナーと出会って、無水調理ができる鍋を開発しました。また、加古川のワシオ株式会社は昭和から続く繊維の会社ですが、ロングセラーの毛布をかけなくていいほどに温かい肌着の素材開発を活かし、ファッション性も兼ね備えたデザインにすることで、新しい世代にもヒットしています。睡眠にこだわる人たちのニーズにピタリとマッチしたのです。ニッチすぎると大手メーカーはトライできません。年商5億から10億円はスモールビジネスにとってスイートスポットと言えます」

このような技術を深掘りして、新たな消費者ニーズにフィットさせるケースは理想的な形かもしれないが、中山は、もう一つの視点を紹介する。

「自社の技術は最大のリソースであることは間違いないのですが、俯瞰してみると本人たちにとって意外な強みを発見できることがあります。例えば、コツコツとものづくりに向き合う社内風土そのものが強みであることを再発見する例もあります。また、先端技術ではないけれど、品質管理や在庫管理、あるいは調達力について、他社の人と話をしているうちに『これは他社にはできないんだ』と気づくことがあります。視点を変えるだけで新たな発見があるのです」


進行役を務めたForbes JAPAN WEB編集長 谷本有香

「100年続く小さな会社」の価値


地方のスモールビジネスの変身について、実体験を踏まえたさまざまな視点が提示された後、後半では「スモールビジネスの投資価値」について話が進んだ。

ここでの二人の話は、「企業としての『成長の意義』が変わってきた」という話題にフォーカスが絞られていった。

中山は指摘する。

「これまでは事業や売り上げの拡大を第一に考え、より安く、より多くの人に自社の製品を届ける、という成功モデルがありました。しかし、現在は『こだわり抜いた自社の良質な製品を、心の底から欲しいと希望する人に使ってもらいたい』という純粋な思いを前面に出す企業が結果として売り上げを拡大させていく事例が増えていると感じます」

これに対して、長瀬も自らの経験を振り返って、こう話す。

「私も一時は規模の拡大を焦っていた時期がありました。でも、中山さんが言われる通りで、製品の質を上げる、その地域にフィットさせる、ということのプライオリティを上げる必要があると痛感しています。突破力とリスク管理を両立させる、とも言えるかもしれません」

こうした新しい経営の価値観は、投資家にも浸透しているのだろうか。

「個人投資家を想定すると、利回りも大事ですが、今後は『投資とは賛同する価値観への投票である』という捉え方になるのではないでしょうか。何に投資しているかがアイデンティティになる時代、と言ってもいいかもしれません」

この中山の意見に対して、長瀬は応じる。

「エッジの効いた成長シナリオがなくてもいいのではないか、と考えています。私は経営者として、事業が持続可能な形になっているかが重要なのです。リターンはその次、というか、それに伴ってくる。それについては都市部より地方の方が有利ではないか、と感じます。環境的に周囲に煽られることもないし、コスト・メリットもありますから」

この点について、視聴者へのリアルタイム・アンケートで「今注目の投資テーマ」を聞いた。その結果は、「サステナブル」が35%と最も支持を集め、「DX」「SNS」「グローバル」などを大きく上回った。

ITにベースを置く最先端のキーワードよりも、サステナブルが注目される。ここには、「何を作るか」もさることながら「どう作るか」「どう経営するか」というビジネスのスタンスが問われていることがうかがえる。

その点は中山、長瀬の示した考え方とも合致する。

事業における「変身」だけでなく、その根底にある経営に対する考え方の「変身」と、2つが相まって新しい時代の勝ちパターンが生まれるのかもしれない。そんな期待を抱かされるイベントになった。


中山亮太郎(なかやま・りょうたろう)
◎慶応義塾大学卒業。2006年にサイバーエージェント入社。ベトナムにベンチャーキャピタリストとして赴任、現地のネット系スタートアップへの投資を実行。2013年に株式会社マクアケ(設立当時の名称はサイバーエージェント・クラウドファンディング)を創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」をリリース。2019年12月には東証マザーズに株式を上場。過去のスモール・ジャイアンツにおいてアドバイザリーボードを務めるなど、地方と中小企業への造詣が深い。

長瀬勝義(ながせ・かつよし)
◎グリーンリバーホールディングス株式会社代表。太陽光発電所の施工を手掛けるグリーンリバー株式会社、縦型水耕栽培装置による独自の次世代農業事業を展開するグリーンラボ株式会社の代表取締役。直近ではコロナ禍における新たな地方での働き方を提案する「ONE FARM」事業を手掛けるなど「技術革新で人々の幸せを実現する。」をミッションに、日本の課題を解決し、豊かで魅力ある地域の実現に貢献する。


Promoted by EL BORDE / text by Toshihiko Masugi / photographs by Munehiro Hoashi(AVGVST)

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