「韓国のアマゾン」と呼ばれるクーパンのIPOは、2014年のアリババ以来で最大の外国企業の米国での上場となる。
クーパンは価格を下げ、配達のスピードを上げることで成長を遂げ、食料品や雑貨を注文の翌日までに配達している。さらに、「クーパン・イーツ」と呼ばれるフードデリバリーや、「クーパン・プレイ」という名の動画ストリーミングサービスも提供中だ。
2018年11月に、クーパンは孫正義のソフトバンク・ビジョン・ファンドから20億ドルを調達した。その際の評価額は90億ドルとされ、韓国で最も企業価値の高いスタートアップとなった。
「当社が目指すのは、5%や10%程度の成長ではない。爆発的な成長を目指したい」と、キムは当時のフォーブスの取材で述べていた。クーパンの他の出資元には、ブラックロックやセコイアキャピタル、著名投資家のウィリアム・アックマンなどが挙げられる。
韓国生まれで米国育ちのキムは、ハーバード・ビジネススクールを中退した後、クーパンを立ち上げた。「私は韓国のEコマース業界で何かを始めたいと思っていた」と、彼は2016年のフォーブスのインタビューで述べていた。
ハーバード大学で学士号を取得した彼は、2006年にハーバードの学生向けの雑誌「02138」のために400万ドルを調達したが、金融危機を受けて2008年に解散していた。
ガートナーの上海オフィスでデジタルコマースを担当するSandy Shenは、「クーパンは韓国のEコマース市場を深く掘り下げることで、アマゾンやアリババとの競争に勝利した」と述べている。eCommerceDBのデータによると、韓国のEコマース市場の2019年の売上高は610億ドルで世界第6位だった。
IPO後のクーパンが、韓国以外でも成長を遂げられるかどうかは、今後の戦略次第だとShenは述べている。「次に進出する市場に、既存の有力プレイヤーが居るかどうかにも左右される。仮に米国に進出したなら、アマゾンに行く手を阻まれることになる」
クーパンは現在、ソウルに本社を置き、北京や上海、ロサンゼルス、シアトル、シンガポールにもオフィスを構えている。