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ニューヨークのヘラルド・スクウェアにある百貨店メイシーズ(Photo by Noam Galai/Getty Images)

スウェーデンのオンライン決済サービス会社、クラーナ(Klarna)は、生中継動画で商品を販売するライブコマース事業に参入する。ライブコマースは中国などで急成長しており、同社はテレビショッピングチャンネル「QVC」の現代版をつくりだして手数料収入の増加などにつなげたい考えだ。

クラーナは3月、ニューヨークのヘラルド・スクウェアにある百貨店メイシーズの旗艦店で、米国で初めてのライブコマースイベントを雑誌「コスモポリタン」との共催で開く。客はメイシーズのほか、アディダス、レベッカ・ミンコフ、レディー・ガガのハウス・ラボラトリーズ、サックス・オフ・フィフス、エクスプレス、ブルーマーキュリー、フット・ロッカーなどの商品を特別価格で購入できる。支払いはすべてクラーナのサービスを利用することが可能だ。

クラーナのイベントは、中国のEC大手アリババが毎年開催しているネット通販セール「独身の日」を参考にしているという。独身の日はライブコマースを積極的に活用しており、昨年の売上高は1150億ドルにのぼっている。

ライブコマースは中国で爆発的な人気を集め、市場調査会社の艾瑞諮詢(iReserch)によると2019年の売上高は660億ドル(約6兆6000億円)に達した。中国政府のデータによれば、昨年前半だけで1000万回を超えるライブコマースイベントが開かれている。

今回のイベントを2年前に考案したというコスモポリタンの発行人、ナンシー・バーガーは、ライブコマースは「ショッピングの向かう先」だと話す。

クラーナの最高マーケティング責任者(CMO)、デーヴィッド・サンドストームは、クラーナがこうしたことをやるのは一見、不思議に思えるかもしれませんが、子細に見ればこれもまた、ブランドと消費者をつなぐ賢い方策だとわかるでしょう」と説明する。

クラーナの主要な事業は、無利子の分割払いなどのサービスを通じて、経済的に余裕のない人の買い物を手助けするというもの。若年層の間でクレジットカードに代わる人気のサービスになっている。収益は加盟店からの少額の決済手数料や、利用者の支払いが遅れた場合の延滞金からあげている。

創業16年の同社は、米国の1500万人をはじめ世界で9000万人の利用者数を誇る。シルバーレイクやセコイア、オーストラリア・コモンウェルス銀行などの出資を受けており、昨年9月の資金調達ラウンドを経て評価額は106億ドルに膨らんだ。収益は2019年時点で7億5300万ドルとなっている。

クラーナはウェイフェアやナイキ、H&M、ペロトン、セフォラをはじめとする小売りパートナー20万社のために客を引き寄せ、その売り上げを増やすべく、サービスの拡充に取り組んでいる。ライブコマースはそのひとつで、昨年11月には欧州向けに1回1時間の実験的なライブコマースも実施している。このイベントは各回10万人を超える視聴者を集め、5000点あまりの商品の売り上げがアップするなど好評を博した。

サンドストームは、1986年に米国で始まり、販売士の熱のこもった商品解説やメーカーの担当者のライブインタビューなどを交えながら、宝飾品や衣類、家庭用品などを手ごろな価格で販売して人気を集めてきたケーブルチャンネル、QVCに言及し、「陳腐な販売戦術や退屈な販売員とは無縁の、超現代風のQVCを生み出したい」と意気込みを語っている。

編集=木内涼子

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