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Photo by Fred Lee/Getty Images

2022年の北京冬季五輪を控える中国のスポーツ業界は、新たな顧客をつかもうと躍起になっている。上海に本拠を置くスポーツ・デジタルエージェンシー「Mailman」でマネージングディレクターを務めるJustin Tanは、コロナ禍から多くのことを学んだという。

同社は、米国のNHLやNBAを顧客に持つ。「スポーツマーケティングの専門家たちは、パンデミックが事業のデジタル化を加速させる転機になったと後年振り返るだろう。中国ではまさにそれが起きている」とTanは話す。

新たなデジタルフォーマットの登場や在宅時間の増加により、ブランドと観客が繋がる機会が増えたとTanは指摘する。中国では、「League of Legends Worlds」のような大規模なeスポーツ大会が開催され、ドイツのサッカークラブ「ボルシア・ドルトムント」はファン向けのストリーミングイベントを配信し、プレミアリーグの「チェルシー」も、中国のファン向けにスタジオ番組を提供している。

また、世界バドミントン連盟は中国で過去の名試合を配信し、NBAもD2C型の収益モデルを積極的に展開している。

Tanによると、パンデミックで人々の健康志向が高まり、スポーツ業界全般に好影響が出ているという。「スポーツは政治を超越すると信じている。中国では、コロナ禍の最悪期に世界中のスーパースターやチーム、団体から激励のメッセージが届いた。中国人はスポーツに強い情熱を抱いており、世界のスポーツ組織にとって中国は魅力的な市場であり続けると確信している」とTanは話す。

中国ではNBAの人気が高く、Mailmanが毎年発表するデジタルパフォーマンス指数「NBA Red Card」においてもNBAチームや選手の人気は高まっている。サッカー選手では、クリスティアーノ・ロナウドがウェイボ(微博)とKuaishou(快手)で1500万人以上のフォロワーを獲得し、中国で最も人気のある海外サッカー選手となっている。

デビッド・ベッカムも880万人のフォロワーを持ち、バイトダンスが運営するショート動画共有アプリ「Douyin(抖音)」でオリジナル動画を配信している。

「新しいジャンルでは総合格闘技のUFCが2020年に中国で大きく飛躍した。その要因として、中国人格闘家ジャン・ウェイリーの活躍や、上海での教育研修施設Performance Instituteの開設、中国オリンピック委員会とのタイアップが挙げられる」とTanは言う。

ウィンタースポーツ業界の成長戦略


冬季オリンピックの開催を来年に控え、ウィンタースポーツ関連企業は、どのような準備をすればよいのだろうか?「中国のスポーツ業界にとって、冬季オリンピックの開催は大きな節目になる。一般市民やスポーツ愛好家の間でウィンタースポーツ人気が高まるだろう」とTanは話す。

それでも、サッカーやバスケットボールなどと比べると、ウィンタースポーツの人気はまだ低い。この分野の企業は、消費者を教育することが必要だとTanは指摘した。

「例えば、NHLはアイスホッケーへの入り口としてボールホッケーのアプリを作った。優れたコンテンツは長い間消費されるだろう。ブランドは、このような草の根レベルの活動やローカルコミュニティへの投資に加え、エンゲージメント戦略の最適化を図るべきだ」と彼は述べた。

ライブストリーミングも重要なツールになりそうだ。「企業は、ライブストリーミングを活用して認知度を向上させ、新たな顧客を開拓することが可能だ」とTanは述べた。

編集=上田裕資

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