仏製ドラマ「Lupin」がヒット ネトフリは「外国語の壁」を超えたのか?

主人公アサン役を演じるのはフランス人俳優のオマール・シーだ(Netflixオリジナルシリーズ『Lupin/ルパン』独占配信中)


成功のポイントは主演とクリエイターの才能


「Lupin/ルパン」が大ヒットした答えのひとつは、オンライン上で開催されたフランスの国際ドラマ祭「SERIES MANIA」で、2月10日のフォーラム「RENDEZ-VOUS」に登壇した「Lupin/ルパン」の製作陣の発言にありました。
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監督のルイ・ルテリエと、Netflix・フランスの国際オリジナル作品ディレクターであるダミアン・クーヴルール、製作したゴーモン・テレビジョン社長兼プロデューサーのイザベル・ディジョージが顔を揃えて、成功の理由について明かしたのです。

「主演のオマール・シーのスター性とイギリスのクリエイターであるジョージ・ケイ(原作&製作)の才能が成功へと導いた。『アルセーヌ・ルパン』を現代に生きるルパンとしてキャラクター化し、フランスらしいエッセンスを注入しながら、ファミリー向けエンターテイメントに仕上げたことも大きかった」

これはクーヴルールの発言ですが、つまり大ヒットに結びついた理由は大きく3つ。1つは主演俳優オマール・シーの魅力、2つ目は作品のクリエイターであるジョージ・ケイの実力、そして3つ目は、フランスが生み出した「怪盗ルパン」というキャラクターをいまの時代にうまくアレンジして、再生させたことです。
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まず、主演のオマール・シーは、フランス映画「最強のふたり」(2011年)で主人公の1人であるスラム街出身の青年の役を演じてブレイクしたフランス人俳優。この作品でフランスのアカデミー賞にあたるセザール賞の主演男優賞を受賞した実力派です。国際的にも注目され、「ジュラシック・ワールド」(2015年)など、ハリウッド作品にも数多く出演しています。

「Lupin/ルパン」では、父親の敵を討つセネガル移民の息子であるアサン役を演じています。父親から託された「怪盗ルパン」が愛読書で、そこから着想を得て、巧みな知恵とユーモアでエレガントに強盗を働くその姿は、ダークヒーローの大泥棒であるにもかかわらず、観る者に共感を抱かせるほどです。

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Netflixオリジナルシリーズ『Lupin/ルパン』独占配信中

それはフランス社会のなかに存在する、アフリカ系フランス人をはじめとするマイノリティに対しての偏見や格差に対して、クリティカルなメッセージが込められてもいるからです。そんな重要な役割を担う主人公に、オマール・シーの起用は欠かせないものであったと言えるでしょう。

次に、原作と、製作にも深く関わっているジョージ・ケイの存在です。彼はイギリス出身で、犯罪スリラーものを得意とするいまノリにノッているクリエイター。サンドラ・オー主演のドラマシリーズ「キリング・イヴ/Killing Eve」の脚本やNetflixオリジナルシリーズ「クリミナル」の企画者として、国際的に評価されている作品を次々と手掛けており、ローカル言語や文化を活かしてスリリングな物語を紡ぐストーリーテラーでもあります。

「Lupin/ルパン」では、ドラマの世界へと一気に引き込むため、重要な初回の舞台に、フランス文化の象徴とも言える「ルーヴル美術館」を選んだあたりも絶妙の設定。何よりも単なる犯罪ドラマに終わらせず、父親と息子の深い絆を描くファミリーエンターテイメントとしたことも、どの国のどの言語の視聴者でも作品の理解を深める助けとなっています。

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Netflixオリジナルシリーズ『Lupin/ルパン』独占配信中
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文=長谷川朋子

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