ビジネス

2021.02.27

段ボールレスのネットショッピングを目指す「オリーブ」の試み

(c) OLIVE


ファウストがオリーブの創業を思い立ったのは、ある夜に30分もかけてたくさんの段ボール箱をつぶし、私道に運び出したときだ。ファウストと家族はパンデミック中、オンライン購入する商品がかなり増えていた。便利だったからだが、段ボール箱も同じ分だけ増えることは考えていなかった。ファウストが新しい会社にオリーブと名づけたのは、「グリーン」という色を想像させるからだ。

オリーブを利用する買い物客はまず、オリーブのアプリかブラウザ拡張機能をダウンロードする。あとはいつものように、好きなブランドや小売店のオンラインショップにアクセスし、商品を選ぶだけだ。チェックアウト時には、自分の住所を入力する必要はない。代わりにオリーブの配送センターの住所が自動入力されるからだ。

注文した商品はそこに送られ、再利用可能なトートバッグに移し替えられて2、3日そこに留め置かれる。そして、オリーブが提携するほかのブランドなどから届いた注文商品がまとめて1つのパッケージにされ、最低でも週に1度、買い物客へと届けられる。

いまは、商品が迅速かつ無料で配達される時代だ。しかしファウストは、eコマースで買い物をした際の悩みのタネを少しでも減らせるなら、商品が手元に届くまで数日余計に待っても買い物客は気にしないはずだと考えている。

オリーブを使う買い物客は、商品が入った段ボール箱をつぶしてリサイクルに出す手間が省けるうえに、返品にも対応してもらえるというメリットが得られる。購入をやめた商品はトートバッグに入れ、オリーブのアプリ上で「返品がある」と入力するだけでいい。あとは、次の定期配達日にそのトートバッグが回収され、返品手続きが進められる。

ファウストは、小売店のサプライチェーンの細部に至るまでサービスを一体化し、いずれはeコマース全体から段ボール箱を完全に排除したいと考えている。しかし、そこにたどり着くまでの道のりは長い。

「率直に言えば、最初からエンド・ツー・エンドを達成することはできない」とファウストは言う。差し当たっては、消費者の手間を省くことが大きな目標だ。しかしファウストのプロジェクトは、返品に使用される段ボールの数を削減できるほか、注文品をまとめて配達することで、理論上は二酸化炭素の排出量も減らしていることになる。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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