5時間未満の睡眠時間の高齢者、認知症発症と死亡率上昇のリスク

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睡眠は健康を保つうえで重要な要素だが、過小評価されることも多い。睡眠障害の例としては、成人の最大3分の1に見られる不眠症(眠りにつくのが難しい、もしくは眠れない)、睡眠時無呼吸症候群もしくはいびき、レストレス・レッグス症候群(むずむず脚症候群)、ナルコレプシー(居眠り病)などがあり、それ以外にも、睡眠に関連する病名は100種類近くにのぼる。

神経障害のある人は、睡眠障害を患うリスクが高くなる。そのため、前述の2件の研究でもそうだったように、相関関係と因果関係を見極めるのはまだ難しい。また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を患う人は、心血管疾患、肥満、2型糖尿病を発症する率が高く、その点も同様に死亡率の評価を難しくしている。

過去11カ月の新型コロナウイルス感染症パンデミックは、住宅事情の不安定化や、住む場所を失う事例の増加につながっている。そうした問題も睡眠不足に関係している。

脳の健康や長寿と睡眠の因果関係は、依然として実証が難しい。そのため、睡眠衛生に注目してさらなる研究を進め、成人後の生涯にわたって睡眠障害を評価して治療することは、高齢化社会において取り組むべき問題と言えるだろう。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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